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どこまでが修繕費でOK?資本的支出とは?よくあるケースを足立区の税理士が解説!

更新日:2024年11月26日

固定資産を修理したり改良したり内装に手を加えたりした時、それは「修繕費」なのか「資本的支出」なのか、判断に迷うケースも多いと思います。

これらの費用は高額になることも多い上に、処理方法により課税所得の金額が異なるため、この判定は非常に重要になります。

安易に"修繕費"で経費計上していると、税務調査で否認されてしまうかもしれません。

修繕費で処理すべきケース、修繕費で処理しても良いケース、資本的支出として処理すべきケースなど、具体的な判定事例も含めて税理士が解説します!


1 . 修繕費とは?

修繕費とは?

固定資産の通常の維持管理原状回復の為の支出等は、修繕費に該当します。

債務が確定した事業年度において、全額を損金とすることができます。そのため、タイミング次第では節税にも繋げられます。

例えば、日常的に稼働させる機械の点検、清掃、補修、部品交換などが修繕費になりますし、建物の雨漏り等を防ぐ為の塗装の塗り替え等も修繕費に該当します。

また、突発的な故障によって支出した修復費用等も修繕費となります。

ということは逆に、固定資産の機能の追加や向上に当たるものは、資本的支出に該当するということになります。

修繕費かどうかは金額の大小ではなく、その実質に応じて判定する必要があります。


2 . 資本的支出とは?

資本的支出とは?

資本的支出とは、固定資産の使用可能期間を延長させたり、価額(価値)を増加させる支出をいいます。

例えば、用途変更の為の模様替え、改造、改装などが挙げられます。

資本的支出の場合は、全額をその事業年度の損金に算入はできず、新たに固定資産として減価償却を行う必要があり、年数に応じて経費化していくことになります。

なお、支出した金額の全額が資本的支出になる場合だけでなく、支出した金額の一部だけが資本的支出となることも想定しています。


【使用可能期間を延長させた部分の資本的支出の計算】

 支出金額 × 延長した使用可能期間 ÷ 延長後の使用可能期間 = 資本的支出 


例えば、日常的に稼働させる機械の修理・改良費として100万円を支出した場合、通常の使用可能期間が5年だとして、この改良により期間が10年に伸びた場合、100万円のうちの10分の5が資本的支出、すなわち100万円×5年÷10年=50万円が資本的支出の金額となります。


3 . 具体的な修繕費の例

具体例な修繕費の例

修繕費になる例として、法人税基本通達に挙げられたものと、それ以外の身近なケースで具体的な修繕費を紹介します。

また、これらの修繕費は、その事業年度内に納品まで完了していれば全額を損金に算入することができるため、節税効果もあります。


①法人税基本通達の例示

法人税基本通達には以下の5つが修繕費の例として挙げられています。

・建物の移築等の費用

・機械装置の移設(解体)の費用

・地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りの費用

・建物、機械装置等の地盤沈下の被害のために行う床上げ、地上げ、移設の費用

・土地の水はけを良くする等のために行う砂利等の敷設等の費用


これら以外の身近な修繕費の例についても以下で紹介します。


②壁紙の張替え

張り替えた壁紙の材質等が従前と変わらないということを前提に、修繕費に該当します。

建物の壁紙の張替えは、通常の維持管理のための支出として認められると考えられます。

壁紙の材質等がアップグレードする場合は資本的支出になり得るので注意が必要です。


③床の改修

摩耗、劣化した床を従前の床と同様の機能を維持するための改修は修繕費に該当します。

違う材質を使用して床を強化する改修の場合には、強化にあたる部分の金額は資本的支出に該当すると考えられます。


④建物の塗装

定期的に行われる建物の塗装は「通常の維持管理」になると考えられるため、修繕費に該当します。

ただし、遮熱、断熱効果が高いような塗料を新たに使用した場合には、資本的支出に該当する可能性もあります。


⑤蛍光灯からLEDランプに

照明設備自体の工事を要しないLEDランプへの交換であれば、修繕費に該当します。

LEDにすると使用可能期間を延長して価値を高めるような気がしますが、蛍光灯やLEDはそもそも定期的に取り換えるのが前提で、消耗品としての性質が高いです。

部品の一部である蛍光灯を機能の高いLEDに変えたとしても、修繕費に該当すると考えられます。

ただし、取り換えるのに大元の照明設備自体に工事が必要な場合は、その部分は資本的支出に該当する可能性があります。


⑥自動車のタイヤ交換

タイヤ交換は車両のメンテナンスの一環であり、定期的に摩耗したタイヤを交換する必要があります。そのため「通常の維持管理」に当てはまり修繕費に該当すると考えられます。

ただし、高機能のスタッドレスタイヤやホイールに交換した場合は、資本的支出に該当する可能性があります。


4 . 具体的な資本的支出の例

具体例な資本的支出の例

資本的支出になる例として、法人税基本通達に挙げられたものと、それ以外の身近なケースで具体的な資本的支出を紹介します。

また、これらの資本的支出は、固定資産として計上して減価償却により年数に応じて費用化していきます。


①法人税基本通達の例示

法人税基本通達には以下の3つが資本的支出の例として挙げられています。

・建物の避難階段の取付等の費用

・用途変更の為の模様替え、改造、改装の費用

・機械の部品を特に品質又は性能の高いものに取り換えた費用


これら以外の身近な資本的支出の例についても以下で紹介します。


②取得直後の改修工事

雨漏り、防水、塗装の工事だとしても、これらを取得直後に行った場合は、資本的支出に該当すると考えられます。

一般的には「通常の維持管理」として修繕費に該当しますが、取得直後にこれらの改修工事を行った場合は、そもそも改修工事が前提で取得していて、工事をすることが必要不可欠な状態であるため、資本的支出に該当します。


③店舗の出入り口の改装

例えば、店舗の出入り口を自動ドアに交換するなどは、「用途変更の為の模様替え、改造、改装」に当てはまりますので、資本的支出に該当します。


④テナントの全面改装

賃貸している店舗の内部造作を全面改装して用途を変更した場合、資本的支出に該当します。

例えば、居酒屋からレストランにする為に内部造作を改装した場合、「用途変更の為の模様替え等」に該当するので、資本的支出になります。


⑤スチールサッシからアルミサッシへの取り替え

窓枠をスチールサッシからアルミサッシへ取り替えた場合、一般的には品質や耐久性の高いものへの取り替えになるので、資本的支出に該当します。


⑥看板の取り替え

看板のデザインや用途を変更して取り替えた場合は、資本的支出に該当します。

デザインや用途が同じ看板の取り替えや劣化した部分の修理であれば修理ですが、デザインを変更している場合は、通常の維持管理や原状回復には該当しないため資本的支出となります。


⑦電気自動車のバッテリー交換

電気自動車では、車体価額に占めるバッテリーの価額の割合が高く、ガソリン車と比較しても高額になるのが一般的です。

電気自動車にとっては主要な構成部品となるため、それを交換することは使用可能期間を延長することに繋がります。

よって、電気自動車の場合はバッテリー交換は資本的支出に該当します。


5 . 少額又は周期の短い費用は修繕費でOK?

基本的には上記の様な考え方で修繕費か資本的支出かを判断しますが、少額や周期の短い修理等であれば、修繕費でも良いとされているケースがあります。

具体的には、修理、改良等の費用が20万円未満または3年以内の周期で修理等が行われる場合は、修繕費として処理することが認められています。

また、複数の固定資産によって稼働している設備については、個々の固定資産に対する修理等が20万円未満であれば修繕費とすることが可能です。


6 . 修繕費か資本的支出かどうしても分からないときは?

修繕費か資本的支出かがどうしても判断がつかない場合は、一定の基準により処理をすることが認められています。

具体的には、修理等の費用が60万円未満またはその修理等の費用がその固定資産の取得価額の概ね10%以下であるときは、修繕費とすることができます。

ただしこれは、「修繕費か資本的支出かが"明らかでない"金額がある場合」とされている為、原則的な方法で判断が付く場合は適用されません。

あくまで、どの方法に照らし合わせても判断が付かない場合に限定されるので注意が必要です。


7 . まとめ

複雑な工事や改修等は判断に迷うケースが少なくないと思います。

特にこれらの費用は高額になることが多い為、間違った処理をしてしまうと後でのダメージも大きくなってしまいます。

少しでも不安な方は、お近くの税理士にご相談ください!



ご相談の方は以下よりお問い合わせください。

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※上記記事は令和6年11月時点の情報に基づいて記載しております。

※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。












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