黒字倒産とは?なぜ黒字なのに倒産!?事前の知識が必須!原因と対策を足立区の税理士が解説!
- hsatou0
- 7月11日
- 読了時間: 7分
黒字倒産とは、文字通り黒字の状態なのに倒産してしまうことです。
決して珍しい事象ではありません。
なぜそのようなことが起こるのでしょうか?
また、それを防ぐ為に何か対策はあるのでしょうか?
黒字倒産の原因や対策について税理士が解説します!
目次
1 . 黒字倒産とは?
2 . 黒字倒産になる原因は?
3 . 資金が不足してしまう原因は?
4 . 黒字倒産しない為の対策
5 . まとめ
1 . 黒字倒産とは?

黒字倒産とは、会社の帳簿上の収支で利益が出ている(黒字)にも関わらず、支払いに必要な手元の資金が不足することによって、支払いの遅延や不能が発生し、倒産に至ってしまうことです。
例えば、商品を販売して利益を出していたとしても、売上の入金が遅い、仕入の支払いが早い、または在庫を大量に抱え過ぎて手元の資金が不足するなどにより、その後の他の経費(人件費や販売管理費等)の支払いができず、最終的に倒産してしまうケースなどが挙げられます。
特に成長期にある会社では、急激な売上げの伸びに伴って売掛金や在庫が膨らむため、資金繰りが追い付かずに倒産してしまうことがあります。
そこで、黒字なのに倒産する原因をもう少し詳しく見ていきましょう。
2 . 黒字倒産になる原因は?

黒字倒産は、主には手元の資金が不足することによって起こります。
簡単に言うと、入出金のタイムラグにより、資金繰りが追い付かなくなる状態のことです。
会社の収支(損益)は、実際の資金の流れに関係なく、商品やサービスが売れた時点で売上を計上し、商品をやサービスを購入した時点で経費を計上します。
例えば、7月に70万円分の仕入れをし、それを100万円で販売した場合、帳簿上は30万円の利益が出ていますが、この時点で30万円の現金が手元にある訳ではありません。
実際はその翌月以降に売上金が入金されたり仕入れ分を支払ったりします。
また、先行投資で在庫を多く抱えていたり設備投資で資金を投入していたりすると、経費には計上されていない資産が多くなる為、帳簿上の利益より実際の手元の資金の方が少ないということは多いです。
一見帳簿上では利益は出ていますが、売上金が入金される前に諸々の支払い期限が到来してしまい、支払不能となり黒字倒産してしまうことが起こり得ます。
では、そもそも手元の資金が不足してしまう原因は何があるのでしょうか?
3 . 資金が不足してしまう原因は?

手元の資金が不足してしまう原因には、主に以下のような要因が挙げられます。
①売掛金の入金が遅い
売上が立っても、すぐに手元に現金が入るわけではありません。
売上で計上されているもので未回収のものが売掛金であり、半月分や1か月分を一定のサイクルでまとめて入金されることが一般的です。
入金のサイクルが長すぎる場合は、資金繰りに悪影響が出て黒字倒産に繋がる可能性が高まります。
現実的には難しい部分もあるかもしれませんが、回収期間は極力短くしたいところです。
1か月分をまとめて翌々月に入金などの場合は、回収期間の見直しや、経費の支払いタイミングの見直しの検討も必要でしょう。
②買掛金の支払いが早い
仕入で計上されているもので未払いのものが買掛金であり、半月分や1か月分を一定のサイクルでまとめて支払いをすることが一般的です
仕入の支払いのタイミングが早すぎると、売上入金までの支払いの負担が大きくなり、黒字倒産のリスクが高まります。
売上金よりも常に仕入れの支払いが先にくる場合は、決済条件としては不利な状態ですので、支払期間を長くしてもらう、分割払いにするなどの交渉や対策が必要でしょう。
③過剰在庫
在庫は販売して現金化するまでにある程度の時間を要します。
過剰な在庫を抱えてしまうと、販売して現金化するまで大きな資金負担となってしまいます。
また、場合によっては保管に係る費用も発生し、在庫処分の為に無理な値引き等を行うことによって経営状態の悪化にも繋がります。
在庫として存在する限り資金回収ができないので、過剰な在庫を抱えない為に適切な在庫管理やトレンドを把握しておくことが大切です。
④過度な設備投資
事業拡大の為の適切な設備投資は必要ですが、過度な設備投資は黒字倒産のリスクを高めます。
売上として回収できる見込みがあれば良いですが、具体的な回収の目途がない状態でやみくもに設備投資をすると、資金繰りを悪化する原因となります。
大きな設備投資の場合は融資を受けることも多いですが、その返済も増えると考えると、具体的な回収の計画を立てることが非常に大切です。
4 . 黒字倒産しない為の対策

帳簿上で利益が出ているからといって過度にお金を使いすぎると、気付いた頃には黒字倒産の危機に陥ってしまう可能性もあります。
普段から以下の事項を意識しておけば、黒字倒産のリスクを避けられます。
①資金繰り(キャッシュフロー)を意識する
「資金繰り表」や「キャッシュフロー計算書」で、一定期間における現金の収支を管理して可視化しておくことが大切です。
会社の試算表と合わせて確認するとより効果的です。
売上はいついくら入金されるのか、仕入はいついくら支払うのか、借入の返済はいくらあるのかなど、簡単でも良いので資金繰り表を作成しておくことをオススメします。
理想は現金収入が現金支出を常に上回っている状態を維持できることです。
キャッシュフローの計算については専門的な知識もある程度必要な為、税理士に相談しながら作成してみましょう。
②適切な在庫管理をする
適正在庫の把握が大切です。
自社の在庫回転率を確認し、適正在庫の目安を調べます。
在庫回転率は『 年間売上 ÷ 平均在庫金額 』で算出することができ、一般的には数値が大きいほど健全と言われます。
回転率が高ければ、効率よく商品が売上に転換(現金化)できているということです。
在庫回転率の適正な数値は業種ごとに目安が異なる為、業種ごとの目安は省庁が公表しているデータ等で確認してみましょう。
また、必要に応じて在庫処分の検討も大切です。
在庫をいつまでも抱えていても現金化できないので、仮に赤字になってしまっても、値引きをして早期に資金を回収するという考えは非常に大切です。
値引きをすることで集客にも繋がる可能性があり、メリットは意外と大きいです。
③回収・支払いサイトを見直す
売上の回収はできるだけ早く、経費の支払いはできるだけ遅くすることで、資金繰りの負担を軽減することができます。
付き合いが短いなど信用力が低い会社の場合は不利な決済条件になってしまうことも多いですが、継続的に取引先に交渉して、有利な決済条件を結べるように努力しましょう。
④資金調達力の強化
必要な時に必要な資金を調達できるような体制を整えておくことも大切です。
例えば、既に取引している金融機関との関係強化や、複数の金融機関との取引で調達先を確保しておくことが挙げられます。
資金繰りが良くない会社に付き合いがない金融機関が急に多額の資金を融資してくれる可能性は低いですが、今までの付き合いで信頼を確保できている金融機関であれば、いざという時に手助けをしてくれるかもしれません。
また、ギリギリ赤字になってしまいそうな決算の時は、そのまま赤字で決算を組むよりも、処理方法等を見直して黒字で決算を組むことで、信用力を高めることができます。
税理士と相談しながら、資金調達に有利な決算書を作ることも意識しましょう。
⑤M&Aの活用
資金繰りがどうにもならない場合、最終手段としてM&Aで会社や事業を売却することで、倒産を回避するという手段もあります。
最悪の事態は避けられる為、従業員の雇用の継続や会社の財産を残すことができます。
すぐに買い手が見つかるという訳ではないですが、頭の片隅には入れておきましょう。
5 . まとめ
黒字倒産を回避するには、経営の基本である資金繰り(キャッシュフロー)を管理することが大切です。
何も意識しないでいると、ある日突然黒字倒産の危機に陥っていることに気が付きます。
資金が不足してしまう原因やその対策を自社に置き換えて考え、資金に余裕のある経営を目指しましょう。
事前の知識や準備があれば黒字倒産することはありません。
不安な方はまずは税理士にご相談ください!
ご相談の方は以下よりお問い合わせください。
初回は相談無料となります。
※上記記事は令和7年7月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。



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