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消費税の確定申告書(2割特例・本則・簡易)の作成方法を足立区の税理士が解説!

  • hsatou0
  • 9月26日
  • 読了時間: 7分

消費税の確定申告は、事業を営む上で避けては通れない手続きです。


特に、令和5年10月に開始されたインボイス制度により、免税事業者だった方も課税事業者

となるケースが増え、申告方法について知りたい方が増えているのではないでしょうか。


今回は、法人・個人事業主の方に向けて、消費税の確定申告書の作成方法を「2割特例」「本則課税」・「簡易課税」の3つの方式に分けて、税理士が分かりやすく解説します!


目次

⒈そもそも、消費税って何?

⒉2割特例で申告書を作成する方法

⒊本則課税で申告書を作成する方法

⒋簡易課税で申告書を作成する方法

⒌まとめ


⒈そもそも、消費税って何?

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消費税とは、日本国内で商品を購入したり、サービスを利用したりする際に、その代金に上乗せして支払う税金です。


消費税の基本的な仕組み


消費税には、以下の3つの特徴があります。


①間接税であること

  • 消費税を実際に負担するのは私たち消費者です。


  • しかし、消費税を国に納めるのは、商品を販売したりサービスを提供したりする事業者です。


  • このように、税金を負担する人と納める人が異なる税金のことを「間接税」と呼びます。

    所得税や法人税のように、負担する人と納める人が同じ「直接税」とは異なります。


②多段階課税であること

  • 消費税は、商品の生産、流通、小売といった取引の各段階で課税されます。


  • しかし、消費税が、二重に課税されることはありません


  • 事業者は、消費者から預かった消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引いて、その差額を国に納めます。

    この仕組みを「仕入税額控除」といい、これによって消費税の累積を防いでいます。


③幅広い取引が対象であること

  • 原則として、国内で行われるほとんどの商品の販売やサービスの提供が消費税の対象となります。


  • ただし、一部の取引には消費税が課税されません。

    これを「非課税取引」といい、社会政策的な配慮や、消費税としてなじまないという理由から定められています。


  • 非課税取引の主な例

    • 土地の売買・貸付け

    • 有価証券や商品券の譲渡

    • 預貯金や貸付金の利子、保険料

    • 社会保険医療(健康保険が適用される医療)や介護サービスの提供

    • 学校の授業料、入学金

    • 住宅の貸付け(1ヵ月以上のもの)


消費税の税率


現在、消費税の税率は、以下の2種類があります。


  • 標準税率:10% (消費税7.8%+地方消費税2.2%)


  • 軽減税率:8% (消費税6.24%+地方消費税1.76%)


軽減税率は、飲食料品(酒類・外食を除く)や新聞の定期購読料などに適用されます。


このように、消費税は、私たちの生活に深く関わる税金であり、その仕組みを理解しておくことは、個人としても事業者としても重要です。



⒉2割特例で申告書を作成する方法

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インボイス発行事業者の「2割特例」とは、消費税の免税事業者が、令和5年10月1日を含む課税期間から令和8年9月30日を含む課税期間までインボイス発行事業者の登録を受けた場合に適用できます。


この特例を適用すると、インボイス発行事業者は、売上税額の20%を納税額とすることができます。


これは、通常の簡易課税制度における事業区分に応じたみなし仕入率(第1種事業の90%から第6種事業の40%まで)よりも、多くの場合で税負担を軽減できる可能性があります。


2割特例の適用要件


2割特例を適用するには、以下の全ての要件を満たす必要があります。


  • 免税事業者であること: 令和5年9月30日以前は免税事業者で、インボイス制度を機に課税事業者となった事業者であること。


  • 対象期間内に登録していること: 令和5年10月1日から令和8年9月30日までの間に、インボイス発行事業者の登録を受けていること。


2割特例のメリットと注意点


メリット


  • 税負担の軽減: 売上税額の20%を納税額とすることで、多くの場合、本則課税や簡易課税制度よりも納税額を抑えられます


  • 事務負担の軽減: 仕入税額控除の計算が不要になるため、経理処理が大幅に簡素化されます。


注意点


  • 事前の届出は不要: 2割特例は、事前の届出が不要で、消費税の申告書にその旨を記載するだけで適用できます。


  • 対象期間が限定的: この特例は期間限定であり、令和8年9月30日を含む課税期間までしか適用できません。


申告方法


2割特例を適用する場合、消費税の確定申告書に適用税率や納税額を計算する際に、売上税額の20%を納税額として記載します。


また、申告書の特例適用欄に、2割特例を適用する旨を記載する必要があります。


⒊本則課税で申告書を作成する方法

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本則課税は、課税売上にかかる消費税額から、課税仕入れにかかった消費税額を差し引いて納税額を計算する方式です。


課税事業者は、原則としてこの方法で申告します。


申告書の作成ステップ


  1. 「消費税の確定申告書」の第1表と付表を準備する:

    付表は、「課税売上高及び消費税額等計算表」などがあります。


  2. 売上税額を計算する:

    • 売上を税率(10%と軽減税率8%)ごとに集計し、それぞれの税額を計算します。


  3. 仕入税額を計算する:

    • 仕入れや経費にかかった消費税額を集計します。

    • インボイス制度の開始により、仕入税額控除を受けるためには適格請求書(インボイス)の保存が必須です。


  4. 納税額を計算する:

    • 売上税額 - 仕入税額 = 納税額


  5. 申告書に記入する:

    • 第1表に売上税額、仕入税額、納税額をそれぞれ記入します。

    • 付表には、売上や仕入の明細(税率別)を詳細に記入します。

    • 必要事項をすべて記入して完成です。


メリットと注意点


  • メリット:

    • 売上税額より仕入税額が多い場合、還付を受けることができます。

    • 高額な設備投資など、大きな経費が発生した年に有利な場合があります。


  • 注意点:

    • 仕入れや経費の消費税額を一つひとつ集計する必要があるため、事務作業が非常に煩雑です。

    • インボイス制度に対応した経理処理が求められます。


⒋簡易課税で申告書を作成する方法

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簡易課税は、事務負担を軽減するために設けられた制度です。


基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が、事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することで適用できます。


この方式では、みなし仕入率を使って仕入税額を計算します。


みなし仕入れ率について


みなし仕入率は、事業区分ごとに定められています。


  • 第1種事業(卸売業): 90%

  • 第2種事業(小売業): 80%

  • 第3種事業(製造業、農業、漁業など): 70%

  • 第4種事業(その他、飲食店業など): 60%

  • 第5種事業(サービス業など): 50%

  • 第6種事業(不動産業): 40%


申告書の作成ステップ


  1. 「消費税の確定申告書」の第1表と付表を準備する:


  2. 売上税額を計算する:

    • 本則課税と同様に、売上を税率ごとに集計し、それぞれの税額を計算します。


  3. 納税額を計算する:

    • 売上税額 × (1 - みなし仕入率)= 納税額


  4. 申告書に記入する:

    • 第1表に売上税額と納税額を記入します。

    • 付表に、事業区分ごとの売上高と売上税額を記入します。

    • 必要事項をすべて記入して完成です。


メリットと注意点


  • メリット: 仕入や経費に掛かった消費税額の集計が不要なため、事務負担が大幅に軽減されます。


  • 注意点:

    • 事前に、「簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。


    • 一度簡易課税を選択すると、2年間は本則課税に戻れません


    • 高額な設備投資を行った場合でも、みなし仕入率で計算するため、還付を受けることはできません


⒌まとめ

消費税の確定申告書(2割特例・本則・簡易)の作成方法について、解説しました。


各申告方式の選択は、事業内容や売上の状況によって異なります。


特に、インボイス制度の開始に伴い、ご自身の事業にとってどの方式が最も有利かを見極めることが重要です。


もし、消費税の申告について不明な点がある、複雑過ぎて分からない...という場合は、税理士にご相談ください!



ご相談の方は、以下よりお問い合わせください。

初回は、相談無料となります。


※上記記事は、令和7年9月時点の情報に基づいて記載しております。

※上記記事は、一般的な内容を記載しているため、判断の際は専門家へのご相談をお願い 致します。











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