「純損失の繰越控除」と「欠損金の繰越控除」の実務や注意点を足立区の税理士が解説!
- 11 分前
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事業が常に黒字であれば理想ですが、創業期や不況の時期には「赤字」が出てしまうこともあります。
税務上、この赤字は将来の黒字と相殺して税金を安くできますが、適用するために要件があり、また個人事業と法人では期限なども少し異なります。
経営するにあたって非常に重要なこの「赤字の繰越」について、税理士が徹底解説します!
目次
1 . 赤字の繰越の仕組み
2 . 個人の「純損失の繰越控除」
①適用要件
②繰越できる期間
3 .法人の「欠損金の繰越控除」
①適用要件
②繰越できる期間
③控除限度額
4 . 控除にあたっての実務上の共通ルール
①古い赤字から順番に差し引かれる
② 期間中に黒字・赤字が混ざってもカウントは進む
③ 期間を過ぎた赤字は消滅する
5 . まとめ
1 . 赤字の繰越の仕組み

事業で赤字(損失)が出てしまったとき、「今年は税金を払わなくて済むから終わり」と思っていませんか?
税務上、その赤字を翌年以降に持ち越し、将来の黒字(利益)と相殺して税金を抑えることができる制度があります。
これが、個人事業の「純損失の繰越控除」と、法人の「欠損金の繰越控除」です。
税金は原則として"1年間"という区切りで計算されますが、事業の波は1年単位でぴったり収まるわけではありません。
【例】A社とB社の比較(2年間のトータル利益はどちらもプラス200万円)
A社: 1年目:黒字100万円 ➔ 2年目:黒字100万円
B社: 1年目:赤字800万円 ➔ 2年目:黒字1,000万円
もし繰越控除の制度がなかったら、B社は1年目の赤字の時は税金0円ですが、2年目の黒字1,000万円に対して重い税金を課されてしまいます。
トータルで稼いだ金額(200万円)はA社と同じなのに、B社だけ税負担が圧倒的に重くなるのは不公平です。
そのため、年を跨いで発生した赤字と黒字を相殺させ、税金を負担する能力"担税力"に合わせて正しく課税するというのが一番の狙いです。
そして、個人事業か法人かによって、この制度の適用期限や細かい要件等が少し変わります。
2 . 個人の「純損失の繰越控除」

純損失とは、所得税の計算において、事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得で発生した損失(赤字)の額のうち、損益通算をしても控除しきれない金額を言います。
本来は翌年以後に繰り越すことは認められませんが、一定の要件を満たせば翌年以後3年間、損失を繰り越すことができます。
①適用要件
主な適用要件は以下の3点です。
・青色申告をしていること
損失が発生した年において、青色申告による確定申告をしている必要があります。
白色申告では一部を除き基本的に損失を繰り越すことができません。
・連続して確定申告書を提出していること
損失が出た年だけでなく、その後に黒字になって赤字を相殺する年、さらにはその間の期間も連続して確定申告書を提出している必要があります。
もし申告漏れがある場合は、期限後申告でも良いので全ての確定申告を済ませましょう。
・確定申告書の第四表を提出していること
申告の際に、損益通算用の申告書「第四表(一)」と繰越損失用の申告書「第四表(二)」の提出が必要です。
②繰越できる期間
損失は最長で3年間繰り越すことができます。(特定非常災害に関する被害で生じた純損失の場合は5年へと延長)
損失が発生した年の翌年を"1年目"としてカウントするので、2026年に発生した損失は2027年~2029年の確定申告で黒字と相殺可能です。
3 .法人の「欠損金の繰越控除」

欠損金とは、法人税法上の課税所得がマイナス時の金額を言います。
繰越欠損金とは、赤字(欠損金)を次の事業年度に繰り越すことで、課税所得が黒字のときに相殺することができる制度です。
一定の要件を満たせば翌年以後10年間、欠損金を繰り越すことができます。
①適用要件
主な適用要件は以下の3点です。
・青色申告をしていること
欠損金が生じた事業年度において、青色申告による確定申告をしている必要があります。
白色申告では基本的に損失を繰り越すことができません。
なお、欠損金が生じた事業年度が青色申告であれば、以降の事業年度が白色申告であっても欠損金は繰り越すことができます。
・連続して確定申告書を提出していること
欠損金が生じた事業年度だけでなく、その後に黒字になって赤字を相殺する事業年度、さらにはその間の期間も連続して確定申告書を提出している必要があります。
もし申告漏れがある場合は、期限後申告でも良いので全ての確定申告を済ませましょう。
なお、欠損金が生じている場合は法人税申告書の別表七の作成が必要です。
・帳簿書類を10年間保存していること
欠損金が生じた事業年度以降、10年間その計算の基礎となる帳簿書類を適切に保存している必要があります。
税法上定められた保存期間は原則7年ですが、欠損金の繰越控除を適用する為には10年間の保存が必要です。
②繰越できる期間
欠損金は最長で10年間繰り越すことができます。
欠損金が生じた事業年度の翌事業年度を"1年目"としてカウントするので、2026年に発生した欠損金は2027年~2036年の確定申告で黒字と相殺可能です。
③控除限度額
会社の規模(資本金の額)によって、黒字と相殺できる赤字の金額に上限が設けられています。
・中小法人等(資本金1億円以下など)
繰越欠損金を100%全額相殺することができます。
資本や出資を有しない公益法人や協同組合なども同様です。
・大法人(資本金1億円超など)
黒字(課税所得)の50%までしか繰越欠損金を相殺することができません。
開始事業年度によって控除できる率が変わるので、詳しくは国税庁のHPをご確認ください。
4 .控除にあたっての実務上の共通ルール

個人事業と法人ともに、損失や欠損金を控除するにあたって、共通のルールがあります。
①古い赤字から順番に差し引かれる
過去に複数年にわたって赤字が生じている場合、繰越控除を受ける際は"発生した時期が最も古い赤字"から順番に自動的に相殺されていきます。
「今年は2年前の赤字から先に使おう」といった選択をすることはできません。
② 期間中に黒字・赤字が混ざってもカウントは進む
赤字が発生してから3年間(または10年間)の間に、途中でまた赤字の年があったとしても、最初の赤字の有効期間のカウントがストップすることはありません。
それぞれの年で発生した赤字が、個別にそれぞれの有効期間(3年または10年)を持って進行していきます。
③ 期間を過ぎた赤字は消滅する
有効期間内に対象の黒字が生じず相殺しきれなかった赤字は、期間が終了した時点で消滅となります。
個人の3年間に比べ、法人は10年間という長い期間にわたって赤字を繰り越すことができる為、事業規模が大きくなった際は"法人化(法人成り)"を検討するメリットの一つと言えるかもしれません。
5 . まとめ
「創業期はしばらく赤字が続きそう」という場合、あらかじめ法人としてスタートしておいた方が、10年間の繰越枠をフルに活かせるため有利になるケースがあるかもしれません。
今抱えている赤字をどう活かすべきか、今後の事業展開に合わせたシミュレーションをしてみたいという方は、まずはお近くの税理士にご相談ください!
次回以降で「繰戻し還付」についても解説をしていきたいと思います。
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※上記記事は令和8年7月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。



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