設立初年度に注意!消費税の選択届のメリット・デメリットを足立区の税理士が解説!
会社を新たに設立しようとしている方、あるいは設立したばかりの方から、『新しく作った会社は、最初の2年間は消費税を払わなくていいんですよね?』とよく聞かれます。
たしかに原則として、設立から最大2年間は消費税の納税義務が免除されます。これを免税事業者(めんぜいじぎょうしゃ)と呼びます。
しかし、この制度を正しく理解していないと、本来もらえるはずだった現金(還付金)を取り逃がしてしまう可能性もあることをご存知でしょうか?
今回は、あえて自ら消費税を納める『課税事業者』になるための手続き、『消費税課税事業者選択届』について、メリット・デメリットをわかりやすく解説します!
目次
1 . 『消費税課税事業者選択届出書』とは?~基礎知識とタイムリミット~
2 . 【 メリット】あえて『選択届』を出すべき3つのケース
① 設備投資や初期費用が大きい
② BtoB取引が中心
③ 輸出事業
3 . 【デメリット・注意点】安易な選択は危険!3つの理由
① 恐怖の『2年縛り』
② やめる際の手続きにも期限が!?
③ 事務負担と申告コストの増加
4 . 【判定チェックリスト】ウチは『選択届』を出すべき?
5 . まとめ:選択届の判断はシュミレーションが不可欠!
1 . 『消費税課税事業者選択届出書』とは?~基礎知識とタイムリミット~

『消費税課税事業者選択届出書(以下、届出書)』とは、消費税を納めなくてもよい免税事業者が、あえて自ら『消費税を納める事業者(課税事業者)』になるために税務署へ提出する書類のことです。
ここで絶対に覚えておいていただきたいのが、『提出のタイムリミット』です。
設立初年度から課税事業者になりたい場合は、『設立1期目の事業年度が終了する日(決算日)まで』に提出しなければなりません。
※例えば、3月31日決算の会社なら、初年度(1期目)の3月31日までに提出が必要です。
『決算を組んでみてから決めよう』では手遅れになります!事前の予測とスピーディーな判断が求められます。
2.【メリット】あえて『選択届』を出すべき3つのケース
わざわざ消費税を払う選択をするなんて損なのでは?と思うかもしれませんが、以下の3つのケースでは選択届を出した方が『得』をする可能性が高くなります。
① 設備投資や初期費用が大きい(消費税の『還付』を受けられる)
ビジネスでは、『お客様から預かった消費税』から『経費として自分が支払った消費税』を差し引いた残りを国に納めます。
もし預かった消費税よりも、支払った消費税の方が多ければ、差額は国から『還付(返金)』されます。
【具体例】
初年度の売上が110万円(預かった消費税10万円)で、店舗の内装工事や機材購入に1,100万円(うち消費税100万円)を支払った場合。
◦免税事業者のまま ➡ 消費税の申告義務がないため、消費税の90万円は戻らない。
◦選択届を提出した ➡ 確定申告をすることで、払い過ぎた消費税90万円が手元に戻る。
創業期の資金繰りにおいて、この還付は非常に大きいですね。
②輸出事業を行っている
商品を海外に輸出する場合、海外の顧客からは日本の消費税を預かりません(免税売上となります)。一方で、国内での商品の仕入れには消費税がかかっています。
つまり、『預かった消費税(ゼロ)』-『支払った消費税』となるため、慢性的に消費税が還付される状態になります。
3 . 【デメリット・注意点】安易な選択は危険!3つの理由
『還付が受けられるなら、とりあえず出しておこう!』と飛びつくのは非常に危険です。
以下のデメリットを必ず知っておいてください。
① 恐怖の『2年縛り』がある
選択届を提出すると、最低2年間は免税事業者に戻ることができません。
例えば、初年度は100万円の還付を受けられたとしても、2期目に事業が軌道に乗り、経費よりも売上(預かった消費税)が大きくなれば、今度は消費税を納めることになります。
この場合、もし『2期目に150万円の消費税を納める』ことになれば、トータルで見るとマイナスになってしまいます。
② やめる際の手続きにも期限が!?
『売上も1,000万円未満だから3期目からは免税事業者に戻りたい』と思っても、自動的には戻りません。
免税事業者に戻るためには、『消費税課税事業者選択不適用届出書』という書類を、適用をやめたい事業年度が始まる前日までに提出する必要があります。出し忘れると、課税期間がまたスタートしてしまいます・・・
③ 事務負担・申告コストの増加
消費税の計算は非常に複雑です。日々の経理処理(記帳)の手間が増え、決算時の税理士費用(消費税申告書の作成報酬など)も追加で発生することが一般的です。還付額とこれらのコストのバランスを見る必要があります。
4 .【判定チェックリスト】ウチは『選択届』を出すべき?

ご自身の会社がどちらに当てはまるか、簡単なチェックリストで確認してみましょう。
チェック
☐ 初年度に大きな設備投資(目安:数百万円~1,000万円以上)の予定がある
☐ 創業初年度は赤字、または売上が少ない見込みである
☐ 2期目、3期目の売上と経費の予測がある程度立っている
チェックが多く当てはまる方は、選択届を出す(=あえて課税事業者になる)ことで大きなメリットが得られる可能性があります。
5 . まとめ:選択届の判断はシュミレーションが不可欠!

いかがでしたでしょうか。
『消費税課税事業者選択届出書』は、提出期限が非常に厳格なうえに、一度出すと2年間は後戻りできないという『諸刃の剣』です。
初年度の還付金だけを見て判断するのではなく、『2期目、3期目の事業計画を踏まえたトータルの税額シュミレーション』が必要になってきます。
また、インボイス制度との兼ね合いで、提出についても複雑化しています。
『自分の会社は還付を受けられる?』『いつまでに何を提出すればいい?』など、少しでも迷われたら、ご自身で判断せずにぜひお早めに税理士などの専門家へご相談ください!
ご相談の方は以下よりお問い合わせください。
初回は相談無料となります。
※上記記事は令和8年10月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。



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