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PASMOやSuicaなどの交通系ICカードのチャージは経費になるの?実務上の注意点は?足立区の税理士が徹底解説!

電車やバスに乗るときはもちろん、ちょっとした買い物などでもPASMOやSuicaなどの交通系ICを利用して決済することが増えてきたと思います。

その時は、事前にIC内に金額をチャージして利用しますが、経費に計上する時は、チャージした時に経費にするのか?チャージしたものを利用した時に経費にするのか?どのように経費計上するのが正しいのでしょうか。

実務上の注意点等も含めて解説します。

※簡便的な処理方法を推奨しているものではありません


1. 主な計上方法は2パターン

主な計上方法は2パターン

原則的な取り扱いは一旦置いておいて、実務上の主な計上方法としては以下の2パターンがあります。


①チャージした時に計上

PASMOやSuicaなどの交通系ICにチャージした時点で経費に計上する方法です。

 旅費交通費 1,000円 / 現金 1,000円 

チャージ時点で全額を経費に計上するため、実際に利用した時の記帳が不要となり事務作業も簡素化されるのが最大のメリットと言えるでしょう。

ただし、その全ての利用履歴の保管が欠かせません。

また、実際に利用した際の経費の領収書との二重計上が無いように注意が必要です。

そして、この処理は原則的な処理方法ではないため税務リスクがあります。


②利用した時に計上

PASMOやSuicaなどの交通系ICにチャージされた金額を実際に利用した時点で経費に計上する方法です。

この方法は、チャージした時点では経費には計上せずに「仮払金」や「預け金」などの資産として計上します。

 仮払金(預け金) 1,000円 / 現金 1,000円 

そして、実際に利用した時にその資産を取り崩して経費を計上します。

 旅費交通費 500円 / 仮払金(預け金) 500円 

利用の都度、資産計上した金額を経費に振り替える必要があるため、上記①よりも記帳に手間がかかります。

ただし、この処理は二重計上のリスクも減らすことができ、本来の正しい処理方法のため税務リスクもありません。


2. チャージした時に経費計上はダメ?

チャージ時に経費計上はダメ?

周りの経営者や税理士に聞いても、チャージした時に経費計上しているケースが多いかもしれません。本当にその処理は認められるのでしょうか?


①原則は利用した時に経費計上

上で処理方法を2パターンを紹介しましたが、本来は②の利用した時に経費計上が正しい処理で、①の方法は正式には認められていません。

原則は、チャージ時には経費計上せずに、利用する都度経費に計上するのが正しい処理になります。

チャージした時点ではあくまでお金を別財布に移しているだけなので、当然それでは経費にすることはできません。


②実務上はチャージ時に経費計上が多い

原則的な処理方法ではないですが、実務上はチャージ時に経費に計上してしまう方法が多いと思います。

これは、金額や取引量、取引内容の観点から重要性が低く、どちらの処理方法だとしても決算に与える影響が少ないと判断されれば、簡便的な方法でも問題ないとされているところにあります。(国税庁が正式に認めている訳ではありません)

特に中小零細企業の場合、事務作業にあまり時間をかけることができず、金額も多額にはならないことが想定されるため、チャージ時に経費計上を採用している会社が多いです。

実際に税務調査があったとしても、重要性が低く決算に与える影響が少なければ、これを指摘されるケースは少ないです。


3. 簡便処理での実務上の注意点

簡便処理での実務上の注意点

理想はもちろん原則的な処理で利用の都度経費に計上するのが良いですが、どうしてもそこまでしてられない場合は簡便的な処理(チャージ時に経費計上)を採用するケースが実務上は多いと思われます。

その時には調査で否認されないためにも、いくつか注意点があります。

これらの注意点を破ってしまう可能性がある場合は、原則的な処理方法を推奨します。


①決算に与える影響が少ないこと

前提として、取引が大量で高額になる場合は原則的な処理を推奨します。

金額が大きいほど、そのチャージした金額をプライベートな支払いに利用しているのではないかと税務調査官も疑いを持ちます。

具体的な金額は出せませんが、例えば月に数千~数万円程度であれば、簡便的な処理でも指摘される可能性は低いでしょう。

特に注意が必要なのは、決算前に多額のチャージをして決算までに利用していないケースです。

このケースは調査官も特に注目しているポイントなので、この場合は決算時だけでも未使用分は資産に振り替えるなどしましょう。


②二重計上がないようにすること

一番やってはいけないことは、チャージ時に経費計上した上で、利用時にも経費計上してしまうことです。

 チャージ時: 旅費交通費 10,000円 / 現金 10,000円 

 利用時  : 旅費交通費 2,000円 / 役員借入金 2,000円 

チャージの領収書とは別に利用した時の領収書も保管してある場合はこのようなケースが考えられるため、経費が二重にならないように注意が必要です。


③利用履歴を保管して提示できるようにすること

前提として、チャージした分をきちんと経費として利用している実態を確認できることが必要です。

チャージするだけして経費としての利用実績が何もなければ当然認められません。

ICカードの利用履歴等を保管しておき、チャージや利用の履歴を提示できるようにしておく必要があります。


④交通費以外の利用が少ないこと

チャージ後の用途が交通費以外の経費がメインの場合は注意が必要です。

交通費以外(例えば飲食費など)をチャージした金額から多量に利用している場合は、経費の二重計上やプライベートな支払いの疑いが強くなります。

交通費の場合は重要性や事務作業の煩雑さの観点から認められる可能性は高いですが、交通費以外が多いとそもそも原則的な処理を求められる可能性が高いです。


⑤それでも認められない可能性はある

これらを全て満たしていたとしても、他の要素によって認められない可能性はありますので、顧問税理士と相談の上、自己責任での判断をお願いいたします。


4. まとめ

交通費ICカードへのチャージは、過度な節税や脱税にも利用されることがあるため、調査官が注目するポイントでもあります。

後から否認されないためにも、理解を深めてきちんと整備しておくことが大切です。

少しでも不安に感じたら、まずは税理士に相談しましょう!



ご相談の方は以下よりお問い合わせください。

初回は相談無料となります。


※上記記事は令和6年8月時点の情報に基づいて記載しております。

※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。







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