補助金・助成金をもらったのに税金が増えてしまった!そんなときに使える圧縮記帳を足立区の税理士が解説!
- hsatou0
- 8月4日
- 読了時間: 5分
コロナ禍や物価高の影響で、さまざまな補助金・助成金を受け取った中小企業や個人事業主の方も多いのではないでしょうか。しかし、「お金をもらったはずなのに、なぜか税金が増えてしまった…」と驚いた経験はありませんか?
実は、補助金や助成金の多くは課税対象となり、所得として計上されるため、結果的に納税額が増えることがあります。そんなときに活用できるのが「圧縮記帳」という制度です。
この記事では、足立区の税理士が、補助金・助成金による納税額増加の背景と、それを繰り延べるための圧縮記帳についてわかりやすく解説します。知らないと資金繰りが大変になる可能性もあるこの制度、ぜひご覧ください。
1、補助金・助成金になぜ税金がかかるのか?

法人税は、会社の売上から経費を差し引いた「利益」に対してかかる税金であり、補助金や助成金も原則としてこの売上に含まれるため、たとえ支援として受け取ったお金であっても課税対象となり、結果的に税金が増えることとなります。
2、補助金・助成金にかかる税負担を繰り延べる圧縮記帳とは?

補助金や助成金を使って設備や機械を購入すると、そのお金が会社の収益として扱われるため、税金が増えてしまうことがあります。
そこで活用できるのが「圧縮記帳(あっしゅくきちょう)」という制度です。
圧縮記帳とは、補助金で取得した資産について、補助金に相当する金額を経費として処理することで、利益を減らし、税負担を軽くできる制度です。
たとえば、100万円の機械を購入し、そのうち50万円を補助金で受け取った場合、本来は100万円の資産として計上されますが、圧縮記帳を使えば補助金分の50万円を経費として認めてもらえるため、帳簿上は50万円の資産として扱われます。
これにより、本来なら補助金分の利益に対して課される税金を減らすことができ、税負担を将来に繰り延べることが可能になります。
要するに上記例でいえば補助金・助成金で50万円が収益として計上されますが同時に50万円を圧縮記帳で経費化できるためプラスマイナスゼロで税金の対象となる利益が生じないこととなります。
ただし、圧縮記帳によって税金が完全に免除されるわけではなく、あくまで「支払いのタイミングを先送りできる」仕組みだという点には注意が必要です。
つまり、本来100万円の金額を数年間にわたって減価償却費として経費処理できるにもかかわらず圧縮記帳によって50万円早期に経費化しているため将来経費にできる金額が50万円減ってしまうとも考えられます。
3、圧縮記帳を使用する上での注意点。

圧縮記帳は補助金・助成金による税負担を軽くできる便利な制度ですが、正しく使うためにはいくつかの注意点があります。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
①税務申告時に「別表の添付」が必要
圧縮記帳を適用するには、法人税の申告書に「別表十三(1)」などの所定の書類を添付する必要があります。これを提出していないと、圧縮記帳の適用を認めてもらえず、結果的に税金が多く課されてしまう可能性があります。
税理士に依頼している場合でも、資料提出の有無を確認しておくと安心です。
②対象となる補助金・助成金は限定されている
すべての補助金・助成金が圧縮記帳の対象になるわけではありません。原則として、固定資産の取得に使われた補助金・助成金に限られます。
また、細かい要件になりますが圧縮記帳の対象となる補助金・助成金は国又は地方公共団体から直接交付されるものに限定されるため対象になるかどうかは慎重に判断する必要があります。
たとえば、以下のようなケースが対象になります:
• ものづくり補助金
• クリーンエネルギー自動車導入促進補助金 など
逆に、雇用調整助成金や事業再構築補助金の一部のように、運転資金や人件費に充てる目的の補助金は対象外になります。
③ 圧縮できる金額には「限度」がある
圧縮記帳で経費として落とせる金額(=圧縮限度額)は、実際に受け取った補助金・助成金の額が上限です。
たとえば、100万円の設備を購入し、50万円の補助金を受け取った場合、最大で50万円までしか圧縮(=経費処理)できません。
また、複数年に分けて補助金を受け取る場合や、支出のタイミングがずれる場合は注意が必要です。
4、その他の圧縮記帳。
圧縮記帳は、上記のような補助金・助成金をもとに試算を購入した場合以外にも以下のようなときに使用することができます。
①保険金により代替資産を購入した場合
②収用により代替資産を取得した場合
③土地・建物を交換した場合
それぞれで圧縮記帳の限度額の計算や要件が異なっておりますので検討される場合は専門家である税理士にご相談ください。
5、まとめ
補助金や助成金は、中小企業や個人事業主の経営を支える重要な制度ですが、法人税の観点では収益として扱われるため、思わぬタイミングで税金が増える原因になることがあります。
その税負担を一時的に軽くする手段として「圧縮記帳」を活用すれば、補助金で取得した資産の一部を経費として処理し、課税所得を抑えることができます。結果として、資金繰りへの悪影響を防ぐことができるのです。
ただし、圧縮記帳には申告時の別表添付や対象となる補助金の種類、圧縮できる限度額など、いくつかの要件があります。誤って適用外の補助金で処理してしまったり、書類が不備のまま申告してしまった場合、かえって税務リスクを高めることにもなりかねません。
補助金や助成金を受け取った際には、会計処理や税務申告の方法について慎重な判断が求められます。制度を正しく活用し、無駄な納税や資金流出を防ぐためにも、税理士など専門家への相談をおすすめします。
ご相談の方は以下よりお問い合わせください。
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※上記記事は令和7年8月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。



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