所得税の予定納税・減額申請・換価の猶予を足立区の税理士が解説
- hsatou0
- 1 日前
- 読了時間: 5分
個人事業主やフリーランスにとって、税金との付き合いは避けて通れません。特に「予定納税」「減額申請」といった制度は、確定申告後にも発生する可能性のある税務対応です。「予定納税って何?払わないとどうなるの?」「今年は収入が減ったけど、予定納税はそのまま?」「納税の期限が過ぎて払えなかった…差し押さえされるの?」このようなお悩みを抱える方に向けて、本記事では以下の内容を徹底的にわかりやすく解説します。
目次
1 - 予定納税とは?制度の基本と対象者
2 - 予定納税の納付時期と金額の計算方法
3 - 減額申請の仕組みと提出手順
4 - 換価の猶予とは?滞納時の救済制度
5 - よくあるQ&A(FAQ)
6 - 税務署に相談する前に準備すべきこと
7 - まとめ
1. 予定納税とは?制度の基本と対象者

▶ 制度の目的
予定納税は、「前年に多くの所得税を納めた人は、翌年も同じくらいの税負担があるだろう」という前提で、所得税の一部を事前に納める制度です。つまり、国が税収を安定的に確保するための仕組みです。
▶ 対象者
以下2つの条件を満たすと、自動的に予定納税の対象になります:
前年分の所得税額が15万円以上
源泉徴収されない事業所得、不動産所得、雑所得等がある
会社員で給与のみの方は基本的に対象外です。しかし、会社員でも副業などで一定額以上の所得がある場合、対象となることがあります。
2. 予定納税の納付時期と金額の計算方法

▶ 納付時期
予定納税は年2回に分けて納付します。
第1期分:7月1日~7月31日
第2期分:11月1日~11月30日
※税務署から「予定納税額の通知書」が6月頃に届きます。
▶ 金額の計算方法
前年の確定申告に基づく所得税額 ÷ 3 = 1期分の予定納税額2期分合計で、前年所得税額の約2/3を納めるイメージです。
【例】前年の所得税が30万円 → 各期10万円 × 2回(計20万円)
3. 減額申請の仕組みと提出手順

▶ 減額申請とは?
前年と比べて明らかに所得が減少すると見込まれる場合、税務署から通知された予定納税額を減額してもらうための手続きです。予定納税制度は前年の実績に基づくため、実際の所得が下がっているにもかかわらず多額の税金を前払いする必要がある状況を避けるための救済制度とも言えます。
▶ 減額申請の対象者
次のようなケースに該当する人は、予定納税額の減額申請を行うことができます。
【主な対象例】
(1) 廃業・休業・失業した場合
→ 所得が大きく変動するため、予定納税が過大となる可能性が高い。
(2) 業績不振により、明らかに本年分の所得が前年よりも少なくなると見込まれる場合
→ 取引先の減少、売上の低下、原材料費の高騰なども該当。
(3) 災害・盗難・横領により、事業用資産や山林に損害を受けた場合
→ 台風や地震による被害、事務所火災、業務用PCの盗難等。
(4) 所得控除・税額控除が前年より増加する場合(以下のようなケース)
雑損控除を新たに受けられる(災害や盗難による損害等)
医療費控除の新規適用や控除額の増加
配偶者控除・扶養控除・障害者控除などが新たに適用、または対象者が増加
社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除などの増額
住宅ローン控除、耐震改修、NPO等への寄附金控除などの新規適用または増額
💡その他の特殊な事情にも対応上記(1)〜(4)以外であっても、やむを得ない事情があると税務署が判断した場合には、減額申請が認められることもあります。
▶ 申請書類と提出期限
第1期・第2期分の減額申請期限:7月15日まで
第2期分のみの減額申請期限:11月15日まで
提出が遅れると認められませんので、早めの準備が重要です。
▶ 書類作成のポイント
所得の見積根拠となる資料(帳簿・請求書・診断書など)を添付
控除額が増える場合は、理由や背景を整理しておくと審査がスムーズ
曖昧な理由では通らないため、数値的根拠のある説明が鍵
4. 換価の猶予とは?滞納時の救済制度

▶ 換価の猶予とは?
期限までに納税できなかった場合、通常は延滞税が発生し、場合によっては資産の差押えも発生する可能性があります。しかし「換価の猶予」を申請すれば、差し押さえられた財産がすぐに売却(換価)されるのを一時的に止められる制度です。
▶ 主な適用条件
やむを得ない理由で一時的に納税ができない(例:災害、病気、業績悪化など)
分割で納付する意志と能力がある
担保の提供ができる、または不要と認められる
▶ 申請手順
「換価の猶予申請書」の作成・提出
財産の状況報告書や支払計画書の提出
税務署による審査
猶予許可通知の受領 → 分割納付開始
▶ 注意点
猶予期間は最長1年(再申請可能)
延滞税が生じます。(本来のものより軽減されます。)
「誠実な納税意志」が重視される
5. よくある質問(FAQ)

Q1. 予定納税を納めなかったらどうなる?
→ 延滞税がかかるだけでなく、悪質と判断されると財産差押えの可能性も。
Q2. 減額申請が却下された場合は?
→ 通常どおりの予定納税額を納める必要があります。不服申立ては可能ですが、慎重な対応が必要。
Q3. 換価の猶予と納税の猶予の違いは?
→ 換価の猶予は「差押え済みの財産を売却されない猶予」。納税の猶予は「納付期限そのものを延ばす制度」。前者の方が緊急度が高い状況向けです。
6. 税務署に相談する前に準備すべきこと

最新の売上・経費状況をまとめた帳簿や収支計算表
見込み損益や納税可能額の試算
事業や生活状況を説明できる簡単なメモや資料
税理士がいる場合は、事前に相談しておくとスムーズ
7. まとめ:税金のことは“早めに行動”がカギ

制度名 | 内容 | 提出時期 | 重要ポイント |
予定納税 | 前年の税額に基づく所得税の前払い | 7月・11月 | 対象者は自動的に通知が届く |
減額申請 | 所得が下がると予想されるときの税額調整 | 7月15日・11月15日 | 根拠ある見積もりと早めの準備が鍵 |
換価の猶予 | 差押えの財産の売却を待ってもらう制度 | 納期限後すぐ | 申請しないと自動的に進行する |
税制度は複雑ですが、正しい知識と早めの対処があれば、必要以上の納税やトラブルを防げます。不安なときは、税理士や税務署に遠慮なく相談しましょう。
ご相談の方は以下よりお問い合わせください。
初回は相談無料となります。
※上記記事は令和7年5月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。
Comments