令和8年度税制改正大綱のポイントを足立区の税理士が徹底解説!
- hsatou0
- 2025年12月26日
- 読了時間: 8分
足立区で活動する税理士として、令和7年12月19日㈮に、現政権与党である自由民主党・日本維新の会から発表された「令和8年度税制改正大綱」のポイントを、地元の皆様や中小企業の経営者様に向けて分かりやすく解説します!
今回の改正は、物価高への対応や、ニュースでも話題の「年収の壁」の見直し、「暗号資産」の税制変更など、個人の家計にも大きな影響を与える内容が盛りだくさんです。
私たちの生活やビジネスにどう影響するのか、主に個人の生活と中小企業経営に関わるものを取上げてみました。
重要なポイントをピックアップして解説していきます。
目次
⒈そもそも「税制改正大綱」って何?
⒉令和8年度税制改正大綱のポイントは?
⒊【個人】基礎控除と給与所得控除の見直し
⒋【投資】「暗号資産(特定暗号資産)」が申告分離課税へ
⒌【子育て】0歳から使える「日本版ジュニアNISA」開設
⒍【消費税】インボイス制度の経過措置の見直し
⒎【法人税】賃上げ促進税制・少額減価償却資産の特例の見直し
⒏その他
⒐まとめ
⒈そもそも「税制改正大綱」って何?

「税制改正大綱(ぜいせいかいせいたいこう)」とは、「来年以降の税金のルール変更の『設計図』や『たたき台』」のことです。
足立区の税理士という立場で、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説します。
1. 誰が決めるの?
国の税金のルールを変えるには、法律(改正案)を国会に通す必要がありますが、その前に、「与党(現政権を担っている政党)」が、「来年は、こういう風に税制を変えよう!」とまとめた方針がこの大綱です。
2. いつ出るの?
毎年12月中旬頃に発表されます(今回の発表も令和7年12月19日となっています )。
12月中旬頃までに発表することで、翌年の4月からの新しい年度に間に合うようにスケジュールが組まれています。
3. これが出るとどうなるの?
この「大綱」は、あくまで「党の案」ですが、実際の日本の政治では、ここに書かれた内容がほぼそのまま法律になります。
今後の流れは、以下のようになります。
12月:税制改正大綱の発表(←今ここです)
「来年はここを変えるぞ」という方針決定。
1月〜2月:国会への法案提出
大綱をもとに、財務省などが実際の法律の条文を作ります。
3月末:国会で可決・成立
予算審議と一緒に話し合われ、法律として成立します。
4月1日:新ルール・スタート
実際に私たちの税金が変わります(一部、1月や10月から変わるものもあります)。
4. なぜ注目されるの?
法律として決まるのは3月末ですが、12月の「大綱」が出た時点で、来年の税金のルールがほぼ確定するからです。
私を含めた税理士や企業の経営者は、3月に法律が決まってから準備したのでは間に合わないため、この12月の「大綱」を見て、「来年はパートさんの働き方をどうしようか」「新しい設備投資をしようか」といった対策をいち早く練るのです。
つまり、「数ヶ月先の未来を知るための最重要資料」と言えます。
⒉令和8年度税制改正大綱のポイントは?

今回の税制改正大綱のポイントは、以下の①~⑤となります。
①基礎控除と給与所得控除最低保証額の更なる引上げ
②「暗号資産(特定暗号資産)」の分離課税・繰越控除
③0歳から、最大600万円までのNISA口座開設
④インボイス制度の経過措置の緩和
⑤賃上げ促進税制の見直し・少額減価償却資産の特例拡大
それでは、次のセクションから詳しく見ていきましょう!
⒊【個人】基礎控除と給与所得控除の見直し

物価高に対応し、手取りを増やすために所得税の計算基準が大きく変わります。
いわゆる「年収の壁」が「178万円」まで引上げられることになります 。
具体的な変更点
基礎控除の引上げ
→これまでの58万円から62万円(合計所得金額2,350万円以下のみ)に引上げられます 。
令和8年分の所得税から適用されます。
なお、源泉徴収税額の見直しについては、令和9年1月1日以後支給分からとなっております。

さらに特例加算
→上記の引上げに加え、令和8年・9年の時限措置として、以下の基礎控除が、上乗せされます。
・合計所得金額489万円以下→42万円
・合計所得金額489万円超655万円以下→5万円

給与所得控除(最低保障額)の引上げ
→ これまでの65万円から69万円に引上げられます 。
さらに特例加算
→上記の引上げに加え、令和8年・9年の時限措置として、給与所得控除の最低保証額に5万円が、上乗せされます。
⇒上記の基礎控除・給与所得控除の特例をあわせて、給与収入178万円までは、非課税
となります。
なお、令和8年・9年の時限措置とされていますが、生活保護基準額が178万円になるまでは維持するとも記載されています。
税理士の視点 アルバイトをしている学生さんやパートの方にとって、働き控えをせずに済む大きな改正です。足立区内の飲食店や商店でも人手不足解消の一助になることが期待されます。
⒋【投資】「暗号資産(特定暗号資産)」が申告分離課税へ

「暗号資産(特定暗号資産)」をお持ちの方には朗報です。
※「特定暗号資産」とは、国が指定する登録された暗号資産のことで、ビットコインなど
主要な仮想通貨は、対象になると思われます。
これまで最大55%(住民税込)の税率がかかっていた「暗号資産(特定暗号資産)」取引が、株式やFXと同じ20%(所得税15%+住民税5%)の申告分離課税となります 。
税率: 一律20%
損益通算:「「暗号資産(特定暗号資産)」同士やデリバティブ取引との損益通算が可能になります 。
繰越控除: 損失が出た場合、翌年以降3年間繰り越して控除できるようになります 。
注意点: この改正は、金融商品取引法の改正の施行日の翌年の1月1日からとされており、令和9年施行で、分離課税となるのは、令和10年からとなる可能性が高いようです。
⒌【子育て】0歳から使える「日本版ジュニアNISA」開設

「NISA(少額投資非課税制度)」が拡充され、対象年齢が拡大されます。
対象年齢: 0歳から17歳まで(全年齢対応へ、つみたて投資枠のみ) 。
つみたて投資枠: 年間60万円、非課税保有限度額は600万円 。
払出し制限: 18歳までは原則、払出し制限がありますが、12歳以降は本人の同意(教育資金等)があれば、払出し可能とする柔軟な設計となります
口座開設年齢の引下げは、令和9年から開始されます。
⒍【消費税】インボイス制度の経過措置の見直し

「2割特例」の延長(令和9~10年分「3割特例」)
個人事業主に限って、いわゆる「2割特例」を令和10年分まで延長することとなりました。
現行制度では、個人事業主が2割特例を使えるのは令和8年分までだったため、2年間延長されることとなります。
ただし、納税額は消費税額の3割となります。
法人成りを検討されている個人事業主の方々は、要注意です!
「8割控除」の見直し
インボイス未登録の事業者から仕入を行う場合のいわゆる「8割控除」の特例ですが、当初であれば令和8年10月1日からは50%控除となる予定でしたが、見直されました。
・令和8年10月1日から令和10年9月30日までは70%
・令和10年10月1日から令和12年9月30日までは50%
・令和12年10月1日から令和13年9月30日までは30%
の控除が認められることとなります。
⒎【法人税】賃上げ促進税制・少額減価償却資産の特例の見直し

足立区に多い、中小企業の経営者様に関係するポイントです。
賃上げ促進税制の見直し
大企業向けの措置については、令和8年3月31日をもって廃止され、中堅企業向けの賃上げ促進税制については、令和9年3月31日を持って廃止となります。
なお、令和8年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度については、
①継続雇用者給与等支給額の増加割合を4%以上を要件とする
②控除率の加算の要件を増加割合が5%以上である場合とする
③教育訓練費による上乗せ措置を廃止する
という改正が入ります。
中小企業向けについては、廃止は明記されていませんが、令和9年3月31日の適用期限で現制度は終了し、延長などについて検討されるようです。
少額減価償却資産の特例拡大
中小企業(個人事業主も含む)が、1つにつき30万円未満の資産を経費にできる特例について、上限が1つにつき40万円未満に引き上げられます 。
パソコンや機械の買い替えに有利になります。
⒏その他

・住宅ローン控除の見直し
→適用期限を令和12年12月31日まで5年間延長
・青色申告特別控除の見直し(所得税)
→令和9年分の所得税から、青色申告特別控除が拡大されます。
現行で65万円の控除については、一定の要件に従って帳簿の電子保存を行うことを要件に加え、75万円に引上げられます。
また、簡易帳簿による10万円の控除については、2年前の収入金額が1,000万円を超える
場合は適用できないこととなります。
・食事代および残業食事代の非課税限度額の引上げ
→支給する食事の使用者負担額の非課税限度額を月3,500円から月7,500円へ引上げ
深夜残業について、現物に代えて現金支給する場合の非課税限度額を1回300円から 650円へ引上げ
⒐まとめ
今回の改正は、「手取りを増やす」という色が非常に強い内容となっています。
特に、基礎控除等の引き上げ(「178万円の壁」)と「暗号資産」の税制改正は、多くの方々にとってインパクトが大きいでしょう。
ただし、防衛財源確保のための「防衛特別所得税(1%)」が令和9年から導入されることも決定しています 。
減税の一方で、将来的な負担増もセットで考える必要があります。
今後の対応:
個人の方: 「年収の壁」が変わる令和8年に向けて、働き方の計画を見直しましょう。
経営者の方: 少額資産特例の拡大(40万円未満)を上手く活用し、決算対策しましょう。
※本記事は「令和8年度税制改正大綱」に基づき作成しています。
国会での法案成立を経て正式に決定されます。
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※上記記事は、令和7年12月19日時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は、一般的な内容を記載しているため、判断の際は、専門家へのご相談を
お願い致します。



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