事業主や従業員が美容室や理容室で散髪やカラーをした場合、その費用は経費として認められるのでしょうか?
事業によっては身だしなみを整えるためには必要不可欠な出費かと思います。
例えば、会社のホームページ撮影のため、大事なお客様との面談のため、動画撮影のためなど、理由は多岐にわたると思います。
そんな中でも、経費として認められそうなケースや注意点について税理士が解説します!
1. 原則は経費として認められない
その散髪やカラーが直接的に業務と紐づいていて、その散髪等の効果がプライベートで役立っていないことが証明できないと、経費として認められる可能性は低いです。
例えば芸能人やモデル等の容姿を売りにしていることでもない限り、プライベートとの線引きはかなり難しく基本的には経費として認められません。
なぜなら、理美容に関しては事業外での生活上の支出と考えるのが普通だからです。
経費として認められるかどうかは、その美容室代が業務上必ず必要なのか、プライベートとしての散髪も兼ねていないか等がポイントになってきます。
「業務上必要でそのために特別に美容室にいった」と言えるほどの根拠が必要です。
2. どんな時に経費として認められる?
基本的に経費として認められない可能性が高いですが、例外的に以下のようなケースでは、業務上必要であれば経費として認められる可能性は高いと思われます。
①接客の為にヘアセットが必要な場合
ホステスなどの職種の場合、ヘアセットが必要不可欠な場合があります。
プライベートでもそのヘアセットのままであることは考えにくいため、そのヘアセット代に関しては経費と認められる可能性は高いでしょう。
ですが、定期的なカットやカラーが含まれている場合はその金額分の取り扱いには注意が必要です。
②役者が撮影等の為にカットやカラーをする場合
役作りの為にカットやカラーが必要な場合は経費として認められる可能性が高いでしょう。
見た目が重要な仕事な上、その撮影の為に必要であることが客観的に見ても明らかであれば問題ないでしょう。
③クライアントのパーティーや結婚式に参加する場合
得意先のパーティーや結婚式に招待され、その為に特別に美容室に行った場合は、経費として認められる可能が高いでしょう。
ただし、それが直接的に事業と関連のあることが前提で、通常のカットと違いその為に特別に美容室に行ったことを証明できることが必要です。
④テレビ出演やメディア取材に対応する場合
テレビ出演やメディア取材等で重要な写真撮影がある場合など、特別に身だしなみを整える必要があるときは、事業との関連性も高く経費として認められる可能性は高いでしょう。
ただし、定期的に美容室に通っている場合はその全てを経費とするのは難しく、明確に事業として必要な分を経費とする必要があります。
⑤YouTubeの企画等でカットやカラーが必要な場合
YouTubeの企画で特別にカットやカラーが必要な場合、企画で美容室に行く必要がある場合などは経費として認められる可能性は高いでしょう。
ただし、そのYouTubeチャンネルに一定の事業性があることが前提です。
3. 実務上の注意点
上記で経費として認められるケースであっても、安易に全てを経費に計上すると税務署に指摘される可能性があります。
上記の場合でも問答無用に全てが経費になる訳ではなく、以下のような点に注意する必要があります。
安全に経費計上できるように以下の点に注意しましょう。
①事業との関連性を明確にしておく
まずは大前提として事業との関連性を明確にしておく必要があります。
撮影のスケジュールや台本等、パーティーや結婚式の招待状、取材の記録や実際の記事、投稿された動画やその素材など、その美容室代が事業と関連していることを客観的に証明できるようにしておきましょう。
これらを明確にできないと認められない可能性が出てしまいます。
②適切な割合で按分する
事業と関連のある美容室代であっても、その中にはやはりプライベートにも関連する部分が含まれていて、100%が事業用と言い切れないこともあります。
その場合は適切な事業割合で按分して経費に計上する必要があります。
例えば、撮影の為のヘアセットだとしても、その中に定期的なカットが含まれていたとしたら、その金額相当額は経費から除くなどの対策が必要です。
他にも、通常の生活であれば3か月に1回のペースでの美容室で足りるのに、撮影等の為に毎月美容室に行っているなどの場合は、その通常の生活に必要な分を考慮して按分計算する必要があります。
4. NGなケース
以下のようなケースは一見経費として認められそうな気がしますが、業務とプライベートを区別できないため、経費計上は難しいと考えた方がようでしょう。日常的にも良く見られるパターンです。
①日常的(定期的)な外見維持の為の費用
身だしなみを整えるための日常的な美容室の費用を経費として認めるのは難しいでしょう。
たとえ営業で日ごろの身だしなみを整える必要があったとしても、プライベートとの区別がつかないためNGです。
②飲食店の事業主やスタッフの美容室の費用
飲食店では清潔感が重要な為、その一環として頭髪に関しての費用も経費になりそうですが、一般的には難しいでしょう。
やはりプライベートとの区別がつかない点と、飲食店はまずは身だしなみ以前に"料理"が最重要な為、身だしなみを理由とした美容室代は経費としては認められづらいです。
③重要顧客との面談前の美容室の費用
重要顧客との面談やプレゼンがある場合など、身だしなみを徹底的に整えなければならないシチュエーションもあるかもしれません。
ですが、その為に美容室に行ったとしても、それはその業務に直接的には関係のない費用のため、経費としては認められません。
5. まとめ
何がOKで何がNGかは明確に決められている訳ではない為、ケースバイケースによって判断する必要があります。
その費用がその業務や事業を遂行する為に直接的に必要なのかどうかを基準に判断をしてもらえればと思います。
判断に悩むときはまずはお近くの税理士に相談しましょう!
ご相談の方は以下よりお問い合わせください。
初回は相談無料となります。
※上記記事は令和6年8月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。
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