株の取引で利益や損失が出た時に、確定申告が必要かどうか悩む人が多いと思います。
基本的に確定申告が不要な人が圧倒的に多いですが、申告が必要な人もいたり、しなくても良いがあえて申告した方が良い人もいたります。
損をしない為にもこの理解は非常に重要です!
確定申告が必要なケース、不要なケース、あえてした方が良いケース、NISAの場合はなど、状況別のパターンを税理士が解説します!
目次
1 - 確定申告は必要なのか?
2 - 確定申告が不要なケース
3 - 確定申告をした方が良いケース
4 - NISA口座は?
5 - まとめ
1. 確定申告は必要なのか?

株の取引で利益が出た場合、原則は確定申告が必要です。
ただし、取引の形態によって確定申告が不要なケースが存在します。
証券会社で口座を開設する時に、「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「一般口座」のいずれかを開設することになり、これらにより確定申告が必要かどうかも変わります。
①「特定口座(源泉徴収あり)」の場合
利益が出た場合、その都度その取引の利益に対する税金が源泉徴収される(納税が完結する)為、確定申告をする必要はありません。
また、損失が発生した場合は、同年内であれば自動的に損益通算(利益と相殺)してくれるので、税金が引かれ過ぎていた場合は証券会社から税金の還付も行われます。
証券会社が一年間の年間取引報告書も作成してくれるので、それを使用してあえて確定申告をすることも可能です。
利益が出ても確定申告を「しなくても良い」という選択肢があるため初心者にもおすすめで、一般的にはこの特定口座(源泉徴収あり)を開設することが圧倒的に多いです。
②「特定口座(源泉徴収なし)」の場合
利益が出た場合、年間取引報告書をもとに投資家自身で確定申告をしなければなりません。
上記①と違い、利益に対する税金が源泉徴収されない為です。
証券会社が年間取引報告書を作成してくれるので、それをもとに確定申告と納税をする必要があります。
ただし、給与所得以外の所得が年間20万円以下であれば申告不要なので、給与所得しかない人は、株の利益が年間20万円以下の状態であれば確定申告は不要になります※。
主に少額(年間利益20万円以下)で運用していて、申告不要制度の範囲内にしたい人が開設することがあります。
※住民税の申告は別途必要なのでご注意ください。
③「一般口座」の場合
利益が出た場合、投資家自身で一年間の売買損益を計算し確定申告をしなければなりません。
源泉徴収がされないほか、証券会社で年間取引報告書も作成してくれないため、全てを自分で作成し確定申告と納税をする必要があります。
2. 確定申告が不要なケース

株の取引で利益が出た場合は基本的に確定申告が必要になりますが、上記のように確定申告が不要なケースもいくつか存在します。
①特定口座(源泉徴収あり)で口座開設している場合
前述の通り、利益が出る度に源泉徴収(納税が完結)するため確定申告は不要です。
ただし、複数の証券会社を利用している場合は注意が必要なので後述します。
②損失が出た場合
年間で損失が出た場合、確定申告をする必要はありません。
ただし、あえて損失の確定申告をすることによって、翌年が有利になる可能性があるので、できれば確定申告をした方が良いです。(後述します。)
③年間の利益が20万円以下の場合
給与所得以外の所得が年間20万円以下の場合、確定申告をする必要がありません。(申告不要制度)
例えば、給与所得のみの人が、株で年間15万円の利益が出たとしても、確定申告をする必要はありません。
ただし、もし株の利益以外にも副収入がある場合には、それらも含めての20万円以下の判定になるので注意が必要です。
また、何らかの理由によりそもそも確定申告をする必要がある人は、この20万円以下の申告不要制度は適用されませんので注意です。
3. あえて確定申告をした方が良いケース

上記の通り確定申告が不要なケースが存在しますが、その中でもあえて確定申告をした方が良いケースもあります。
損をしない為にもこのケースを理解しておくことは非常に大切です。
①損失が出た場合
年間で損失が出た場合は確定申告が不要ですが、あえて損失の確定申告をすることにより、その損失分を翌年以降に繰り越すことができます。
株の損失は3年間繰り越すことができ、翌年以降で利益が出た場合は、その利益と繰り越した損失を相殺することができます。
これにより、3年間は損失と利益を相殺できる為、無駄に税金を払ってしまうことを避けられます。
確定申告をしないでいると、翌年以降の利益部分には税金がかかってしまうため、損をしない為にも絶対に確定申告をすることをおすすめします。
②特定口座(源泉徴収あり)で複数の証券会社で取引をしている場合
特定口座(源泉徴収あり)の場合、利益が発生する度に税金が源泉徴収されます。
しかし、同年中にもし損失が発生した場合は、同じ証券会社内であれば自動的に発生した利益と損失を相殺してくれます。
これにより、税金が源泉徴収されていたとしても、その後に損失が発生して利益と相殺されれば、源泉徴収されていた税金が証券会社から還付されることになります。
ところが、もし複数の証券会社を利用している場合は、違う証券会社間で利益と損失を相殺することができません。
R証券会社では利益が出て源泉徴収されているが、S証券会社では損失が出ている、という状況では、自動で相殺はしてくれません。
そこで確定申告をすることにより、違う証券会社間での利益と損失を相殺し、源泉徴収された税金を国から還付してもらうことができます。
4 . NISA口座は?

そもそもNISAとは「少額投資非課税制度」のことで、NISA口座での株や投資信託での運用益は非課税になります。(年間の投資枠や非課税の限度はあります。)
そもそも非課税で税金が発生しない為、もちろんは確定申告は不要です。
ただし、旧NISAで非課税期間が終了して通常の課税口座へ払い出す場合は注意が必要です。
非課税期間が終了したら課税口座(特定口座か一般口座)へ払い出されるため、それ以降の売却については税金が発生します。
その時は上記に当てはめて確定申告が必要かどうかを判断しましょう。
(一部、配当金の受け取り方次第では税金が発生することもありますが、あまり気にしなくて良いと思うのでここでは割愛します。)
5. まとめ
特定口座(源泉徴収あり)を開設していれば基本的に確定申告は不要ですが、もし損失が出てしまった場合などは、確定申告をして無駄な税金を払いすぎないようにしましょう。
所得次第では特定口座(源泉徴収なし)を開設するのもありですが、基本的には、一つの証券会社に絞って特定口座(源泉徴収あり)で開設しておけば問題ないです。
もし損失が出た時だけ確定申告をすることだけ忘れないようにしましょう。
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※上記記事は令和7年1月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。
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