従業員への表彰金や賞金を現金で渡すときはどう処理する?商品券は?税務上の注意点は?足立区の税理士が解説!
- hsatou0
- 8月8日
- 読了時間: 6分
社内表彰等で従業員へ表彰金や賞金を渡すケースがあります。
例えば、目標やノルマの達成度に対しての表彰や、勤続年数に対しての表彰、社内コンテストの賞金など、従業員へ現金や商品券を支給するケースは少なくありません。
これらの支給は税務上はどう取り扱うのか?
労働の対価としてなのか?通常業務とは関係のないものなのか?によって取り扱いや考え方が若干異なります。
処理の方法や注意点について税理士が解説します!
目次
1 . 表彰金や賞金は給与になる
2 . 給与にならない表彰金や賞金
3 . 商品券やカタログギフトの場合は?
4 . 金銭以外の"物品"の場合は?
5 . 現金を渡すときの会社側の実務的な処理
6 . まとめ
1 . 表彰金や賞金は給与になる

基本的に、従業員へ表彰金や賞金を渡したときは、それは"給与"扱いになります。
一部"給与"にならないケースも存在しますが、その表彰金や賞金が業務(労働)の対価として支払われる性質のものである場合には、その全額が給与の対象となります。
給与であればもちろん源泉徴収も必要なので注意が必要です。
給与の対象となる表彰金や賞金の具体的な例として、以下のようなものがあります。
・永年勤続者への表彰金
・目標達成等に対する表彰金
・成績優秀者に対する表彰金
・各部門で競う業務成績等に対する表彰金
・業務改善など通常業務に関連する社内コンテストの賞金
これら、業務上の功労等に関係する表彰金や賞金を金銭で渡した場合は、全て給与扱いとなります。
なお、社内コンテストで金銭を渡す場合でも、それが祝い金や見舞金などの「慶弔費」に該当する場合は、通常の金額の範囲内であれば給与とはなりません。
では、その他に給与の対象とならない表彰金や賞金は何があるのでしょうか?
2 . 給与にならない表彰金や賞金

金銭で表彰金や賞金を渡す場合は基本的に給与となりますが、以下のような内容であれば給与とならない可能性があります。
①永年勤続者に対する表彰
永年勤続者を表彰する場合、以下の条件を全てクリアしていれば給与とはなりません。
・10年以上勤続していること
・勤続期間と照らし合わせて妥当な表彰品の額であること
・前回の表彰から5年以上の間隔が空いていること
・金銭で表彰していないこと
金銭で表彰した場合はその他の条件がクリアしていたとしても、給与の対象となるので注意が必要です。
給与としないためには"物品"で表彰する必要があります。
②趣味的な内容である社内コンテストの賞金
通常の業務との関連性が低く、コンテストの内容が趣味的なものである場合には、その賞金は給与の対象となりません。
例えば、業務と関係のない、社内の写真や創作物に対するコンテストの賞金などが該当します。
ただし、これらは"給与"ではなくても受け取った本人の"一時所得"となるので注意しましょう。
(一時所得は年間50万円以下であれば申告不要です。)
③アイデア募集等の社内コンテストの賞金
会社のロゴやキャッチフレーズなど事業アイデアに対する賞金は給与の対象となりません。
ただし、それらのアイデアを考えること自体が通常の業務である社員の場合には、それは給与の対象となりますので注意が必要です。
そのアイデアが自身の通常業務と関係性が深いものは給与となるということです。
こちらも②と同様に、給与でなくても一時所得となります。
④その他通常業務の範囲を超えた表彰金等
例えば、自身の部署以外の部署へのアイデアや、会社全体の経営に対するアイデアなど、通常業務の範囲を超えたものに対する表彰金や賞金は給与となりません。
こちらも②③と同様に、給与でなくても一時所得となります。
3 . 商品券やカタログギフトの場合は?

それでは、金銭ではなく代わりに商品券やカタログギフトを渡したら取り扱いはどうなるのでしょうか?
結論、商品券やカタログは金銭と同等に扱います。
商品券は換金性が高く、実質的には現金と同じ効果を持ちます。カタログギフトも自由性が高く、好きなタイミングで好きなものを選択して受け取ることができます。
クオカードや自由度の高い旅行券もこれらに該当します。
(旅行券は条件を満たせば給与になりませんが今回は説明を割愛します。)
表彰金や賞金としてこれらを渡したときは、現金でなくても金銭を支給したと同等の取り扱いになり、基本的には給与または一時所得の対象となります。
それでは逆に、これらには該当しない換金性の低い物だったらどうでしょうか?
4 . 金銭以外の"物品"の場合は?

上記で説明してきた表彰金や賞金について、金銭ではなく"物品"を渡したときの取り扱いはどうなるのでしょうか?
結論、物品の場合は社会通念上相当な金額であれば給与となりません。
一般的に行われる社内コンペや社内コンテストの表彰品、賞品、景品として、常識的な金額の物品を渡すのであれば、それは給与の対象となりません。
物品であればほとんどの場合、一時所得にもなりません。
一般的な物品の他に、期限があって特定のサービスのみ受けられるサービス券などもOKです。
換金性や自由度が高いもの、そもそも高額なものは給与になる可能性があるので注意しましょう。
なお、ゴルフコンペについては社会通念上一般的に行われるレクリエーションに含まれないため、社内のゴルフコンペの景品等については給与の対象となります。
5 . 現金を渡すときの会社側の実務的な処理

ここからは会社側の実務的な処理を見ていきましょう。
①現金を引き出しておく
現金で支払った場合、支払った履歴がどこにも残らないため、客観的な証拠として、口座から総額とピッタリの額を事前に引き出しておくことをオススメします。
これに以下の内容も合わせることにより、架空の経費として疑われる可能性が低くなると考えられます。
②会計処理
給料手当または福利厚生費として処理することが一般的です。
例:永年勤続の表彰として現金50,000円を支払った
給料手当 50,000円 / 現金 50,000円
例:アイデアの社内コンテストの賞金として30,000円支払った
福利厚生費 30,000円 / 現金 30,000円
③出金伝票を作成
現金で支払った場合は領収書等が発行できないため、出金伝票を作成して保管しておきます。
出勤伝票には「日付」「相手方」「金額」「内容」を記載しておきます。
出金伝票の他に、Excel等で管理しておくとなお良いでしょう。
6 . まとめ
表彰金や賞金を金銭で渡すと、基本的には給与扱いとなります。
給与として処理することを忘れないように注意するほか、従業員への説明も忘れないようにしましょう。
金銭でなく物品であれば給与になりませんが、常識的な金額の範囲内かつ一般的に行われる社内コンテスト等のレクリエーションである必要があります。
適正に処理し、調査等で指摘されないように心がけましょう。
これらの処理に少しでも不安がある方は、まずは税理士にご相談を!
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※上記記事は令和7年8月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。



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