従業員の資格取得費用を会社が負担したら給与課税される?給与課税されないための要件や注意点を足立区の税理士が解説!
- hsatou0
- 12 分前
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従業員の資格取得の費用を会社が負担してあげるケースは良くあると思います。
業務上その資格が必要であったり、資格があることで業務を有利に進めることができるときなど、福利厚生の一環として会社が負担してあげることも良くあります。
ですが、仕事に関係があるからと言って、何でもかんでも会社の経費になる思っていたら注意が必要です。
そもそも経費に計上できるのか?経費の場合の勘定科目は?
従業員の資格取得費用を会社が負担する際の注意点を税理士が解説します!
目次
1 . 会社が負担したら経費にできる?
2 . 基本的には資格取得者の給与扱い
3 . 給与課税しなくて良いパターン
4 . 給与課税となるパターン
5 . 必ず全額を会社が支払う!
6 . まとめ
1 . 会社が負担したら経費にできる?

従業員の資格取得費用を会社が負担した場合、経費に計上することは可能です。
仕事で必要な資格を取ってもらったり、仕事に有利な資格の取得を支援したりなど、会社がその費用を負担した場合は福利厚生費などで経費にすることができます。
これは、資格を取得する為の研修費や学校の費用も含まれます。
ただし、経費になると言っても、内容次第ではそれが「給与」となってしまう可能性があります。
「給与」となった場合、その対象の従業員の"所得"となってしまう為、その費用分に対する所得税・住民税が発生してしまいます。
個人の税金が増えると言っても、取得費用は会社が負担してあげることに変わりはないので、お互いが合意の上であれば給与として処理すること自体には問題はありません。
では、どういったものが給与扱いとなってしまうのでしょうか?
2 . 基本的には資格取得者の給与扱い

資格を取得することは、基本的にはその個人の利益に繋がる行為です。
どんな資格であっても、一度取得したら明らかに業務以外でも利用することは可能で、今後の人生において確実にその恩恵を受けることになります。
その費用を会社が負担してあげるということは、その個人は経済的利益を受けたことになり、「給与」として課税対象になるのが原則です。
ただし、国税庁は通達により、「...職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。」としています。
つまり、業務を行う上で直接必要な技術や知識を習得させるための費用については、常識的な金額であれば給与として扱う必要はないということです。
では、具体的にどういった資格取得費用がこれらに該当するのでしょうか?
3 . 給与課税しなくて良いパターン

給与課税の必要がない「業務上直接必要な技術や知識を習得するための費用」について、例えば以下の様なケースがあります。
ポイントは、常にその従業員が担う業務に対し、その資格が直接必要かどうかなどです。
①調理師免許
飲食店の調理場で従事する人にとって調理師免許は必要不可欠です。
常に調理場に立つ従業員であれば、業務を行うにあたり調理師免許が直接必要であるため、費用を会社が負担しても給与課税されることはないと考えられます。
②運転免許
大型トラックやタクシーの運転手などは、常にその業務を行うにあたり各種運転免許が必要不可欠なため、給与課税されることはないと考えられます。
ただし、営業担当者に外回りの為に普通自動車免許を取得してもらう場合は、常にそれが業務上直接必要なのか判断が難しい為、給与課税となってしまう可能性もあります。
③宅建や生命保険募集人等
業界特有の資格であり、常に業務内容と直接関係しているのは言うまでもありません。
ただし、宅建の場合、常に従業員全員が宅建の資格を有している必要はありません。
その従業員の職務内容や地位等を照らし合わせて、資格を取得させることが妥当であるという根拠が必要です。
④英会話学校
海外出張や海外勤務をする従業員にとって、英会話のスキルは常に業務上必要不可欠なため、給与課税されることはないと考えられます。
国内勤務であっても、英語での商談が必要であったりする場合は、業務上直接必要ということになります。
その従業員の職務や地位等を照らし合わせて、資格を取得させる必要があるという根拠を残しおきましょう。
⑤簿記
会社の経理や財務を担っている従業員であれば、簿記の知識は業務上直接必要であると言えます。
常にその従業員の簿記の知識が業務上必要であり、常に経理等の専門性の高い業務を行っていることが明らかであれば、給与課税されることはないと考えられます。
4 . 給与課税となるパターン

業務上直接必要な資格であっても、一部の国家資格の取得費用は給与課税となります。
主に、弁護士、税理士、医師など、その資格により専属の業務を行える資格については、業務上直接必要であったとしても、すべて給与課税の対象となってしまいます。
これらの国家資格は、資格取得者だけが行える独占業務となり、取得した個人のメリットがあまりにも大きいと言えます。
例えば、経理担当者が税理士の資格を取得しようとする場合、経理として税理士資格は必須ではなく、取得後に税理士として独立することも可能であるため、個人へ帰属する利益が大きいことを考えると、その従業員の給与として考えるべきとされています。
また、言うまでもありませんが、業務と直接関係のない資格取得費は給与となります。
5 . 必ず全額を会社が支払う!

給与課税とならないための注意点として、資格取得費用は必ず会社が全額を負担し、会社名義で請求書や領収書を発行してもらいましょう。
一部でも従業員が負担している場合、残りの金額は会社が単に支援をしているだけとなってしまい、給与扱いとなってしまいます。
また、支払いについても、従業員が立て替えて支払いあとで精算するのではなく、最初から会社で支払いを行い、請求書や領収書も会社名で貰うように注意しましょう。
あくまでも、業務上必要な資格を会社が負担して取得してもらうという前提を忘れないようにしましょう。
少しでも従業員に負担させてはいけません。
(負担させても良いですが、その場合は全額が給与となります。)
なお、資格取得費用は負担できないが、代わりに合格祝い金を支給するという場合もあると思います。
合格祝い金を支給した場合は、原則は給与課税となりますのでご注意ください。
6 . まとめ
従業員の資格取得費用は、業務上直接必要である場合は、給与課税されずに経費に計上できる可能性があります。
少しでも従業員に負担させると全額が給与課税の対象となってしまいますので、会社の負担の仕方には注意が必要です。
最近は採用活動の強化の為に、福利厚生の一環として資格取得支援を強みにしている企業も増えてきていると思います。
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※上記記事は令和7年7月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。
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