(後編)源泉徴収票の意味や見方を足立区の税理士が徹底解説!意味や見方を知っているだけで世界が変わります!
- hsatou0
- 9月12日
- 読了時間: 7分
今回は源泉徴収票の下半分の意味や見方について解説します。
上半分(前編)の解説については前編の記事をご覧ください。
今回の内容を理解することで、源泉徴収票の重要性を再認識できると共に、自分の給料や税金の仕組みについて見つめ直す良いきっかけになると思っています。
実務的な内容も踏まえて税理士が徹底的に解説します!
目次
1 . 源泉徴収票の下半分について
2 . 源泉徴収票の見方(後編)
3 . まとめ
1 . 源泉徴収票の下半分について

前編で解説した源泉徴収票の上半分については、主に給料や所得の金額、所得税の金額、各所得控除の合計金額など、税金計算の基本になる大枠(メイン)の金額が記載されていました。
源泉徴収票の下半分については、上半分で記載された各所得控除の根拠や扶養親族の情報、本人の個別事情などについて記載がされます。
これにより税金計算の根拠をより詳しく確認することができ、本人の個別事情の記載により提出先の会社等は本人の情報をより詳細に知ることができます。
それでは具体的な見方を見ていきましょう。
2 . 源泉徴収票の見方(後編)
源泉徴収票の下半分について、具体的な見方や意味を解説します。
なお、重要性の低い箇所は割愛します。
①生命保険料の金額の内訳

実際に支払った生命保険料等の金額が記載されます。
年末調整で計算した保険料だけが記載され、退職時の場合は空欄となります。
「新生命保険」「旧生命保険」「介護医療保険」「新個人年金保険」「旧個人年金保険」のそれぞれの支払い額まで記載されます。
生命保険料は支払い額の全額が所得控除になる訳ではなく、支払った金額の一部が所得控除の対象となり、上記の支払い内容によって控除額の計算式や上限額が決まっています。
生命保険料控除の詳細についてはこちらをご参照ください。
控除額の計算結果の合計額が、上半分の『生命保険料の控除額』に記載されます。
②住宅借入金等の特別控除の額の内訳

いわゆる"住宅ローン控除"の詳細が記載され、控除可能額やローンの年末残高などが記載されます。
年末調整で計算した控除額だけが記載され、自身で確定申告をした場合や退職時の場合は空欄となります。
(1)住宅借入金等特別控除適用数
住宅ローン控除を適用している件数が記載されます。
通常は「1」となりますが、住宅ローン控除を受けている物件に対して増改築を行い、その増改築に対しても住宅ローン控除の適用を受ける場合、適用数は「2」となります。
適用数が「2」以上となるのは、住宅取得後に増改築を行ったり住宅を再取得した場合のみで、多くの人は「1」となることがほとんどです。
(2)居住開始年月日
居住を開始した年月日が記載されます。
税務署から届く※「給与所得者(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」にその居住開始年月日が記載されているのでそのまま転記されています。
※初年度を除く2年目以降
なお、(2回目)の欄については、2つ以上の居住開始年月日が存在する場合にのみ記載されます。
例えば上記(1)のように増改築を行った場合、その増改築に対して控除を受ける場合は"2回目"という扱いなるので、その増改築後の居住開始年月日が記載されます。
(3)住宅借入金等特別控除区分
適用を受けている住宅ローン控除の区分が記載されます。
それぞれの区分に応じて以下の様に記載されます。
(2回目)については上記(2)と同様です。
『 住 』・・・一般の住宅ローン控除(増改築を含む)
『 住(特家) 』・・・ 一般の住宅ローン控除(増改築を含む)で特例居住用家屋※に該当
※特例居住用家屋とは、床面積が40㎡以上50㎡未満で令和5年12月31日以前に一定の建築確認を受けた住宅
『 認 』・・・認定住宅等※に係る住宅ローン控除
※認定住宅等とは、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅に該当する住宅
『 認(特家) 』・・・ 認定住宅等に係る住宅ローン控除で特例認定住宅等※に該当
※特例認定住宅等とは、床面積が40㎡以上50㎡未満で令和5年12月31日以前に一定の建築確認を受けた認定住宅等
『 増 』・・・特定増改築等住宅ローン控除
『 震 』・・・震災特例法第13条の2第1項 の住宅の再取得等に係る住宅ローン控除※
※詳細は割愛するので詳しくは国税庁ホームページをご覧ください
(4)住宅借入金等年末残高
住宅ローンの年末残高が記載されます。
複数の金融機関からの借入がある場合は合計額が記載されます。
(2回目)については上記(2)と同様です。
(5)住宅借入金等特別控除可能額
住宅ローン控除額が所得税の年税額よりも多かった場合に記載されます。
所得税から住宅ローン控除を引ききれなかったケースです。
住宅ローン控除額が所得税額の範囲内(控除しきれている場合)であれば0円と記載されます。
例えば、所得税の年税額が100,000円、住宅ローン控除額が150,000円とした場合、住宅ローン控除を引ききれない為、この欄に150,000円と記載されます。
このケースでは源泉徴収票の上半分の『源泉徴収税額』が0円となり、『借入金等特別控除の額』には100,000円と記載され、『住宅借入金等特別控除可能額』に本来の控除額である150,000円が記載されます。
③控除対象配偶者

自身の合計所得金額が900万円以下で、かつ所得が95万円以下の配偶者がいる場合に記載されます。
④配偶者の合計所得

配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けている場合に記載されます。
この合計所得とは、給与収入から給与所得控除を差し引いた後の金額です。
⑤国民年金保険料等の金額、旧長期損害保険料の金額

実際の支払い額が記載されます。
国民年金は全額が控除対象となり、社会保険料控除の中に含まれています。
旧長期損害保険料は地震保険料控除の一種であり、支払い額の一部が控除対象となり、地震保険料控除の中に含まれています。
⑥基礎控除の金額、所得金額調整控除額

基礎控除の金額が記載されますが、基礎控除額が48万円の場合には記載されません。
基礎控除は48万円が満額ですが、自身の所得によって基礎控除額が異なる為、48万円以外の場合のみ記載されます。
また、年末調整を行っていない場合にも記載されません。
所得金額調整控除の適用がある場合には、所得金額調整控除の額が記載されます。
多くの人は記載されないため詳細は割愛します。
詳しくはこちらをご参照ください。
⑦控除対象扶養親族等

"扶養控除"の対象となった親族の情報が記載されます。
扶養控除の詳細についてはこちらをご参照ください。
⑧16歳未満の扶養親族

16歳未満の扶養親族は"扶養控除"の対象外の為、別枠で記載がされます。
所得税法上の扶養控除には該当しませんが、住民税の計算で非課税規定等が適用される可能性がある為、16歳未満の扶養親族についても全て記載されます。
⑨個別事情

「勤労学生」「ひとり親」「障害者」「乙欄」など、税金計算上で必要な本人の個別事情が記載されます。
該当する箇所に『 〇 』が付きます。
それぞれの個別の制度については割愛しますので、国税庁ホームページをご覧ください。
⑩中途就・退職

年の途中で就・退職した場合、どちらかに『 〇 』が付き、その年月日が記載されます。
一年を通じて在籍している場合は記載されません。
なお、年の途中で就職し同年内で退職をした場合、両方に〇が付き退職日だけが記載されます。
3 . まとめ
前編と後編に分けて源泉徴収票の意味や見方について解説しました。
全てを理解しておけば、勤務先から貰って疑問に思っていたことを解決できるかもしれませんし、従業員に発行する場合は間違っていたりおかしな部分にいち早く気付けるかもしれません。
もし源泉徴収票について不明な点がある、従業員に発行したいけど分からない...という場合は、まずは税理士にご相談ください!
ご相談の方は以下よりお問い合わせください。
初回は相談無料となります。
※上記記事は令和7年9月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。

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