青色申告が取り消される!?法人の青色申告の取り消しの要件やリスクについて、足立区の税理士が解説!
- hsatou0
- 4 日前
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更新日:18 時間前
税務上の優遇措置を受けられる「青色申告」。
法人が青色申告をするには、税務署に「青色申告の承認申請書」を提出し承認を受ける必要があります。
基本的には何も問題がなければそのまま承認を受けられることになりますが、一定の要件に該当した場合は青色申告の承認が"取り消される"ことがあります。
青色申告の承認の取り消し事由に該当するケースや、取り消し後のペナルティ等について、税理士が詳しく解説します!
目次
1 . 青色申告とは?
2 . 青色申告が取り消される場合とは?
3 . どういった流れで取り消される?
4 . 青色申告が取り消しされるとどうなる?
①欠損金の繰越控除
②特別償却・税額控除
③少額減価償却資産
5 . 再申請はできる?
6 . まとめ
1 . 青色申告とは?

青色申告とは確定申告の方法のひとつで、一定の帳簿書類を備え付けることが要件となっている代わりに、節税に役立つ税制上の優遇措置を受けることができます。
青色申告の要件を満たさない「白色申告」もありますが、法人税の申告では「青色申告」が一般的となっています。
(税理士事務所に記帳や申告業務を依頼することで基本的には青色申告の要件を満たすため。)
複式簿記により記帳した帳簿書類が必要というデメリットがありますが、それらは税理士に依頼することで解決することができ、青色申告により得られるメリットの方が上回ります。
事前に税務署に「青色申告の承認申請書」を提出し承認を受ける必要があり、新規設立の会社であれば会社設立から3か月以内に提出すれば1期目から、それ以外であれば事業年度終了日の前日までに提出すれば翌期から青色申告ができます。
基本的に申請書を提出すればそのまま承認となりますが、以後に青色申告の"要件"を満たさなくなった場合、青色申告の承認を"取り消される"場合があります。
2 . 青色申告が取り消される場合とは?

法人が青色申告の承認を取り消される具体的な要因として、法人税法で主に以下のように定められています。(法人税法第127条抜粋)
一 その事業年度に係る帳簿書類の備付け、記録又は保存が前条第1項に規定する財務省令で定めるところに従つて行われていないこと |
二 その事業年度に係る帳簿書類について前条第2項の規定による税務署長の指示に従わなかつたこと |
三 その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること |
四 第74条第1項(確定申告)の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつたこと |
少し文章が難しいですが、国税庁の事務運営指針と照らし合わせて読み替えると、主に以下のようになります。
1、物理的に帳簿書類の備え付け等をしていることに加え、税務調査で帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず、その提示を拒否した場合 |
2、帳簿書類の備え付けについて税務署の指示に従わない場合 |
3(1)、当初申告した所得金額が決定または更正され、その結果として隠ぺいや仮装による不正所得が所得金額の50%に相当する金額を超えた場合 ただし、不正所得金額が500万円未満の場合は除く |
3(2)、欠損金額を減額する更正が行われ、その結果として減少した欠損金額の中で、隠蔽や仮装による不正所得が当初申告した欠損金額の50%に相当する金額を超えた場合 ただし、不正欠損金額が500万円未満の場合は除く |
3(3)、帳簿書類への記載等が不十分であり、推計によらなければ正確な所得金額を計算することができない場合 |
4、2期連続で期限内に申告書の提出がされていない場合 |
この他にも、悪質な帳簿の作成や、電子帳簿保存法に反している、管財中の破産法人、相当の事業がある場合など、取り消しの要因はいくつかありますが、ここでは割愛します。
3 . どういった流れで取り消される?

上記の取り消し事由に該当した場合、税務署から「青色申告の承認の取消通知書」が届きます。
取り消し事由に該当したからといって直ちに取り消しになる訳ではなく、取消通知があって初めて正式に取り消しとなります。
なので、2期連続で期限後申告になってしまったからと言って、勝手に2期目を白色申告で申告することはできません。
(この段階では取り消されていないので青色申告が必要)
ただし、青色申告は遡って承認を取り消すことができるため、この2期目を後で白色申告として修正申告をしなければなりません。
≪例≫
令和7年3月期 期限後 青色申告
⇩
令和8年3月期 期限後 青色申告(白色申告に修正)
⇩
青色申告の承認の取消通知
⇩
令和9年3月期 期限内 白色申告
4 . 青色申告が取り消しされるとどうなる?

青色申告の承認が取り消されると、以下の優遇措置が受けられなくなります。
また、一定期間は青色申告の承認申請書を再提出することができなくなります。
①欠損金の繰越控除
青色申告の場合、赤字が出た場合にその赤字を10年間繰り越すことができます。
翌期以降の黒字と相殺できるため、黒字のときの税金を抑えることができます。
しかし、青色申告が取り消された場合、赤字を繰り越すことができず消滅してしまいます。
②特別償却・税額控除
青色申告の場合、一定の固定資産を取得したときに、通常の減価償却費に加えて上乗せで償却ができたり、取得価額の一定割合を税金から控除することができる制度があります。
この制度は青色申告でないと適用できません。
③少額減価償却資産
通常、10万円以上する資産を取得したときは、一括で経費に計上することはできず、固定資産として減価償却をすることになります。
少額減価償却資産とは、中小企業者等で青色申告の場合に限り、30万円未満の固定資産であれば、全額を一度に経費計上することが可能な制度です。
青色申告が取り消された場合は、この制度を適用することはできません。
5 . 再申請はできる?

青色申告の承認が取り消された場合であっても、再度申請して承認を受けることは可能です。
ただし、取り消しの"通知日"から1年間は「青色申告の承認申請書」を再提出することができません。
再提出した場合は翌事業年度から青色申告が適用になるので、どんなに短くても3期分は必ず白色申告になることになります。
具体的な再提出のイメージは下記の通りです。
≪例≫
令和7年3月期 期限後 青色申告
⇩
令和8年3月期 期限後 青色申告(白色申告に修正)
⇩
令和8年7月1日に青色申告の承認の取消通知
⇩
令和9年3月期 期限内 白色申告
⇩
令和9年7月2日に青色申告の承認申請書提出(令和11年3月期から適用)
⇩
令和10年3月期 期限内 白色申告
⇩
令和11年3月期 期限内 青色申告
6 . まとめ
青色申告は様々な税制上の優遇を受けることができますが、その分、要件を満たしていないと承認を取り消されてしまうというリスクがあります。
遡って青色申告を取り消されてしまうと、修正申告により多額の追徴課税が発生してしまう可能性もあり得ます。
正しく帳簿を作成し、正確な処理を行うように心がけましょう。
「青色申告の仕方が分からない...」「正確に帳簿を作成できているか分からない...」「1回期限後の申告をしてしまった...」「取り消しの通知が来てしまった...」など、少しでも不安を抱えている方は、まずは税理士にご相談ください!
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※上記記事は令和7年5月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。