top of page

意味のない節税方法7選!決算直前でこれをやっても無意味です!よくある間違った節税対策を足立区の税理士が紹介!

更新日:2024年11月26日

節税は、うまく活用すれば資金繰りの改善や事業の発展にも貢献し、会社経営にはかかせないものだと思っています。

ですが、正しくない節税方法で無駄に資金を使ってしまったり税務調査で否認されてしまったりと、安易に思いついたものをやれば良いというものでもありません。

今回は特に勘違いされがちな7つの間違った節税方法について解説します。

無駄に資金繰りを悪化させないためにも、正しい節税方法を身に付けましょう!


1 . 材料や商品の大量仕入れ

材料や商品の大量仕入れ

決算直前に材料や商品を大量に仕入れたとしても、節税にはなりません。

期末で未使用の材料や商品(在庫)は経費として計上されずに、資産として翌期に繰り越されることになります。

例)決算で棚卸をした結果、在庫が300,000円分残っていた

 棚卸資産 300,000円 / 仕入 300,000円 


また、最終的な1年間の売上原価は以下の式によって計算されます。

《 期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高 = 売上原価 》


この「期末棚卸高」が翌期に繰り越される棚卸資産となります。

「売上原価」の金額が最終的に経費として計上される金額なので、期末の在庫が多いほど経費の金額は低くなります。


結果、在庫として残っている限りは節税にはなりません。

ちなみに棚卸の金額を事実と異なる金額に意図的に調整した場合は"脱税"になります。


棚卸についてはこちらの記事で詳しく解説しています。





2 . 商品券の大量購入

商品券の大量購入

決算直前に贈答用の商品券を大量に購入したとしても、節税にはなりません。

贈答用の商品券は"交際費"として経費になりますが、経費になる前提として、取引先等に贈答している必要があります。

期末で未渡しの商品券は経費として計上されずに、資産として翌期に繰り越されることになります。

実際に贈答済みの分だけが経費として計上されるのです。

まだ渡せていなくて決算時に手元に残っている商品券は、「貯蔵品」として資産に計上する必要があります。

例)決算時点で100,000円分の未渡しの商品券が残っていた

 貯蔵品 100,000円 / 交際費 100,000円 


結果、手元に未渡しの商品券がある限り節税にはなりません。

ちなみに偽って渡したことにした場合は"脱税"になります。


商品券についてはこちらの記事で詳しく解説しています。





3 . 30万円以上の資産の購入

30万円以上の資産の購入

決算直前に30万円以上の資産を購入したとしても、節税にはなりません。

10万円以上の備品等を購入した時は、固定資産として計上し、減価償却により経費化をしていく必要があります。

減価償却は月割りにより取得月から経費化していくため、全額が一時の経費にはならず、節税の効果は得られません。

ただし、特例として、取得価額が30万円未満であれば全額を経費にすることができる"少額減価償却資産"の処理を選択することができます。

また、取得価額が20万円未満であれば1/3を3期で均等に経費にすることができる"一括償却資産"も選択することが可能です。

これに対し、30万円以上の場合は問答無用で資産計上が必要になります。


結果、決算直前に30万円以上の固定資産を購入しても経費にできるのは数か月分のみになり、節税の効果は薄いです。


固定資産の処理方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。





4 . 未完了の修繕費

未完了の修繕費

決算直前に修繕費の支払いをしたとしても、その修繕が決算までに完了していなければ、節税にはなりません。

修繕費は、全額を一時に経費計上することができます。

ただしこの前提として、経費になるのは支払ったタイミングではなく、完了して納品されたタイミングで全額が経費に計上できます。

決算までに納品まで完了していれば全額を経費に計上できるため、節税を狙うのであれば、前倒しで修繕を進めて決算までに間に合わせる必要があります。

たとえ決算までに全額の支払いが完了していても、納品が翌期になったらそれは翌期の経費になるので注意しましょう。

例)壁紙の張替え費用として100万円支払っていたが、納品が翌期になった

 前渡金 100万円 / 修繕費 100万円 


なお、場合によっては修繕費ではなく"資本的支出"に該当するケースもありますので、詳しくはこちらの記事で詳しく解説しています。





5 . 未完成のホームページ作成(改修)費用

未完成のホームページ作成(改修)費用

決算直前にホームページ作成費用の支払いをしたとしても、そのホームページが決算までに納品されていて稼働していなければ、節税にはなりません。

一般的なホームページ(複雑な仕様なものを除く)の作成費用は、全額を一時に経費に計上することができます。

ただしこの前提として、経費になるのは支払ったタイミングではなく、納品されて稼働を始めたタイミングで全額が経費に計上できます。

決算までに稼働開始していれば全額を経費に計上できるため、節税を狙うのであれば、前倒しで作成を進めて決算までに間に合わせる必要があります。

たとえ決算までに全額の支払いが完了していても、納品が翌期になったらそれは翌期の経費になるので注意しましょう。

例)ホームページ作成費用として200万円支払っていたが、納品と稼働が翌期になった

 前渡金 200万円 / 広告宣伝費 100万円 


なお、一部の複雑なホームページの作成費用は固定資産となるケースがあるので注意してください。


6 . 未受講のセミナー等の受講費

未受講のセミナー等の受講費

決算直前にセミナー等の受講費を支払ったとしても、そのセミナーが決算までに開催されない場合は、節税にはなりません。

セミナー等の受講費は、支払ったタイミングではなく、実際にそれを受講したタイミングで経費に計上できます。

セミナーの開催が翌期、または事業年度を跨いで一部が翌期に開催される場合は、「前払費用」として資産に計上しなければなりません。

結果、実際に受講した分しか経費には計上されないため、大部分が翌期での開催になる場合は節税には繋がりません。

たとえ決算までに全額の支払いが完了していても、開催が翌期になったらそれは翌期の経費になるので注意しましょう。

例)セミナー受講費用として60万円(全5回分で1回あたり10万円)を支払っていたが、5回分は翌期での開催となった

 前払費用 50万円 / 採用教育費 50万円 


前払費用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。





7 . 役員への賞与(届出書未提出)

役員への賞与(届出書未提出)

役員への賞与は、"事前確定届出給与に関する届出書"を事前に提出していないと、損金として認められず、節税にはなりません。

"事前確定届出給与に関する届出書"は、定時株主総会(決算決議)から1か月以内に提出が必要で、賞与の支給日、支給額をあらかじめ確定させて届出をするものです。

この届出通りに支給すれば全額が損金になるため節税効果が高いですが、これの提出がない若しくは届出書の内容と異なって支給した場合は、全額が損金として認めらません。

届出書を提出していても、支給日が1日でもズレたり支給額が1円でも違うと、全額が損金不算入となるので注意してください。


役員賞与についてはこちらの記事で詳しく解説しています。





8 . 【番外】役員ではない親族への賞与

親族が社内で働いている場合、その親族へも決算賞与を出したいと思う方も多いでしょう。

役員でない場合は事前の届出書は不要なため、他の従業員と同様に支払い時に経費に計上することが可能です。

ただし、以下2点を注意する必要があります。

①みなし役員に該当しないか

"みなし役員"とは、役員として登記はしていないが、税法上は役員とみなされるものです。

役員登記をしていないにも関わらず、税法上で役員としてみなされてしまうと、他の役員と同様に給与や賞与の支給に制限を受けることになります。

みなし役員の判定基準として、「法人の経営に関わっているか」「重要な意思決定に関わっているか」「株式保有割合が一定数以上か」などが基準となります。

これらを総合的に判断し、実質的に役員と同じ立場と判断されてしまうと"みなし役員"となります。

特に同族会社が厳しく見られる傾向にあります。

②賞与の金額に根拠があるか

みなし役員に該当しないのであれば、他の従業員と同様の計算基準で賞与を支給していれば問題ありません。

ですが、親族だからといって、根拠もない高額な金額や、業務内容や他の従業員と比較して不相当に高額な場合は、その不相当とされる金額が否認され、損金不算入となってしまう可能性があります。

また、全額が役員賞与とみなされてしまう可能性もあるかもしれません。

役員賞与となると、事前の届出がないと損金不算入となるため注意が必要です。


9 . まとめ

節税は正しく活用すれば事業の発展や資金繰りにも好影響ですが、一歩間違うと脱税になりかねません。

正しい知識を身に付けてよりよい会社経営を目指しましょう。

節税方法について不安なことがあったら、近くの税理士に相談しましょう!



ご相談の方は以下よりお問い合わせください。

初回は相談無料となります。


※上記記事は令和6年11月時点の情報に基づいて記載しております。

※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。










閲覧数:51回0件のコメント

Comments


bottom of page