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家事按分とは?個人事業主・フリーランス向け計算方法と注意点を足立区の税理士が解説

 個人事業主やフリーランスの皆さん、事業経費を適切に計上できていますか? 自宅で仕事をしている場合、家賃や光熱費、通信費などの一部を「家事按分」して経費にすることが可能です。しかし、按分のやり方が不適切だと、税務調査で否認されるリスクも…。では、どのように按分すればよいのでしょうか? 本記事では、足立区の税理士が家事按分の正しい計算方法やポイントを詳しく解説します! 節税対策に役立つ情報をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

1 - 家事按分とは何か

2 - 家事按分の対象となる費用

3 - 家事按分の方法

4 - 注意点

5 - まとめ


1.家事按分とは何か

家事按分

 家事按分とは、事業と私生活の両方に関連す支出を合理的な基準に基づいて適切に分割し、事業に関係する部分のみを経費として計上することを指します。

 個人事業主やフリーランスの場合、事務所や専用の作業スペースを別に借りず、自宅の一部を仕事場として活用するケースが多くあります。 このような場合、家賃や光熱費、通信費などの費用は、仕事とプライベートの両方で使用するため、その全額を経費として計上することはできません。 しかし、事業に関連する部分については経費として認められるため、適切な割合を算出し、按分して経費計上することが可能です。

 税務上、事業経費として認められるためには、按分の基準が合理的であり、客観的に説明できることが重要です。たとえば、自宅のうちどの程度の面積を仕事用に使用しているか、仕事のためにどれくらいの時間、光熱費を使用しているかといった明確な基準を設定し、適切に計算することが求められます。

 また、税務調査の際には「本当にその割合が事業のための支出であるか?」がチェックされるため、計算の根拠を明確にし、記録を残しておくことが大切です。過度に高い割合で按分すると、税務署から指摘を受け、修正を求められるリスクもあるため、慎重に按分することが重要です。

 このように、家事按分は適正な経費計上のための重要なルールであり、適切に活用することで、税務リスクを回避しながら、正しく節税を行うことができます。



2.家事按分の対象となる具体的な費用


家事按分

①住居関連費

  • 家賃(賃貸の場合)

  • 固定資産税(持ち家の場合)


②光熱費

  • 電気代(パソコン、照明などの使用分)

  • ガス代(飲食業や作業に使用する場合)

  • 水道代(業務で水を多く使う場合)


③通信費

  • インターネット料金(仕事用のメールやWEB会議)

  • スマートフォン料金(仕事用の通話やデータ通信)


④交通費・車両費

  • ガソリン代(仕事の移動に使用する分)

  • 駐車場代(業務で使用する場合)

  • 自動車保険・税金(事業用の車両分)


⑤その他の費用

  • 新聞・書籍代(仕事に関連するもの)

  • パソコン・プリンター・事務用品(業務使用分)

  • 家具・備品(事業専用スペースで使用するもの)



3.家事按分の方法

家事按分

①面積で按分する方法

対象:家賃、電気代、水道代、固定資産税など

計算:仕事専用スペースの面積 ÷ 自宅全体の面積 = 事業割合

例:

  • 自宅(50㎡)のうち、仕事用に10㎡を使う

  • 10㎡ ÷ 50㎡ = 20%

  • 家賃10万円なら、10万円 × 20% = 2万円 を経費に

ポイント:

  • 仕事用のスペースが明確に区切られていることが望ましい

  • 事業専用の机や設備を配置すると説明しやすい


②使用時間で按分する方法

対象:電気代、インターネット料金、車両費など

計算:事業に使った時間 ÷ 1日の総使用時間 = 事業割合

例:

  • 自宅のインターネット(1日24時間のうち、事業で8時間使用)

  • 8時間 ÷ 24時間 = 33.3%

  • ネット代6,000円なら、6,000円 × 33.3% = 2,000円 を経費に

ポイント:

  • 業務時間を記録しておくと信頼性が高まる

  • テレワークで時間割合が増えた場合は適宜見直しを


③使用回数で按分する方法

対象:電話代、車のガソリン代、コピー代など

計算:事業の使用回数 ÷ 総使用回数 = 事業割合

例:

  • 携帯電話の通話(1か月で50回中、30回が仕事用)

  • 30回 ÷ 50回 = 60%

  • 携帯料金8,000円なら、8,000円 × 60% = 4,800円 を経費に

ポイント:

  • 通話履歴や使用頻度を把握しておくと説明しやすい

  • 仕事専用のスマホを用意するのも一案


④使用容量按分(データ通信や電気料金の詳細な按分)

対象:インターネット料金、クラウドサービス、電気料金など

計算:事業で使用したデータ量(kWhなど) ÷ 総使用量 = 事業割合

例:

  • 月間データ通信量100GBのうち、仕事で70GB使用

  • 70GB ÷ 100GB = 70%

  • インターネット料金が5,000円なら、5,000円 × 70% = 3,500円 を経費に

ポイント:

  • 通信量や消費電力が記録できるなら、より正確に按分可能

  • 電気代の場合、業務専用の電力メーターをつけるとさらに明確


⑤走行距離按分

対象:ガソリン代、車検費用、保険料、駐車場代など

計算:事業での走行距離 ÷ 総走行距離 = 事業割合

例:

  • 1か月で1,000km走行し、うち600kmが事業用

  • 600km ÷ 1,000km = 60%

  • ガソリン代が15,000円なら、15,000円 × 60% = 9,000円 を経費に

ポイント:

  • 事業用の走行記録を残しておく(手帳やアプリを活用)

  • 家族用と兼用の場合は特に証拠を整備する


⑥収入比率で按分する方法

対象:車両費、通信費、消耗品費など

計算:事業収入 ÷ 総収入 = 事業割合

例:

  • 本業(事業)収入が年間500万円、副業収入が100万円

  • 総収入600万円のうち、事業割合は 500万円 ÷ 600万円 = 83.3%

  • 車の維持費12万円なら、12万円 × 83.3% = 10万円 を経費に

ポイント:

  • 収入ベースで按分するため、事業の実態と整合性が取れていることが重要

  • 副業やその他の収入が大きい場合、事業割合が低くなるため、注意が必要



4.注意点

家事按分

①明確な根拠を持つ

 家事按分の割合を決める際には、「なぜその割合なのか?」という根拠を説明できるようにしておくことが大切です。税務調査では、「按分割合の根拠を示してください」と求められることがあるため、客観的なデータや計算方法を明確にしておくと安心です。


②定期的に見直す

 事業の状況は年々変化するため、按分割合も定期的に見直しましょう。税務署は「前年と大きく異なる按分割合」に対して関心を持ちます。事業の変化に応じて適切な見直しを行い、変更した理由を記録に残しておくことが大切です。


③一貫性を持たせる

 按分割合が前年と大きく異なる場合、税務署から「なぜ割合が変わったのか?」と確認される可能性があります。例えば、前年は家賃の20%を経費にしていたのに、突然50%に変更すると、「事業スペースが増えた根拠は?」と聞かれるかもしれません。税務署の指摘を受けないためにも、事業の実態に即した按分を行い、記録をしっかり残すことが重要です。


④記録を残す

 税務調査で按分の根拠を示すためには、日々の使用状況を記録しておくことが有効です。特に、車両費や通信費などの使用状況は、客観的なデータをもとに按分することが望ましいです。


⑤過度な按分は避ける

 事業と私生活の境界があいまいな費用を過剰に按分すると、税務調査で否認される可能性があります。例えば、家賃10万円のうち80%を経費として申告した場合、税務署は「本当にそれだけのスペースを仕事で使っているのか?」と疑問を持つかもしれません。無理に按分を増やすのではなく、合理的な基準に基づいて適正な割合を設定することが大切です。



5.まとめ

 家事按分は、事業と私生活の支出を合理的な基準で分け、事業に関連する部分のみを経費として計上する方法です。主な対象費用には家賃、光熱費、通信費、車両費などがあります。按分方法は面積や使用時間、走行距離などで計算し、根拠を明確にすることが重要です。定期的に見直し、一貫性を保ち、過度な按分を避けることが求められます。




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※上記記事は令和7年2月時点の情報に基づいて記載しております。

※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。




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