令和7年から特定親族特別控除が新たに創設!扶養控除との違いは?足立区の税理士が徹底解説!
- hsatou0
- 4月14日
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令和7年から「特定親族特別控除」が新設されました。
大学生年代の子等に係る新たな控除が創設され、一定の所得金額の範囲内の人についてはその金額に応じた段階的な控除を認めようというものです。
以前から存在している「扶養控除」とは何が違うのでしょうか?
控除額や要件などを税理士が徹底解説します!
目次
1. 特定親族特別控除とは?
2. 扶養控除との違いは?
3. 要件は?
4. 控除額は?
5. 注意点
6. まとめ
1. 特定親族特別控除とは?

令和7年度税制改正により創設されました。
扶養親族のうち、"19歳以上23未満で扶養控除の対象にならない人”で、一定の所得金額の範囲内の人については、その金額に応じた段階的な所得控除を認めようというものです。
これまでは、扶養控除の対象要件として、扶養親族の給与収入が103万円※以下である必要があり、103万円※を超えると一切の扶養控除が受けられないことになっていました。
そこを、給与収入が103万円※を超えたからといって一律に控除の対象外にするのではなく、超えた後も金額に応じて段階的に所得控除を受けられるようにした制度です。
19歳から23歳は学生等でアルバイトをしている人が多く、親の扶養から外れることを恐れて働く時間を制限するケースがあるため、この制限をなくして人手不足等を解消することなどを目的としていると考えられます。
※令和7年度税制改正により、従来の扶養控除の収入要件が123万円に引き上げられました。
2. 扶養控除との違いは?

既存の制度で「扶養控除」が存在します。
扶養控除の中でも、一般の扶養親族ではなく"特定扶養親族"に該当する場合は63万円の扶養控除を受けることが可能です。
"特定扶養親族"とは、控除対象の扶養親族のうち、年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。
既存の制度では、控除対象になる為には給与収入が103万円※以下である必要がありますが、特定扶養親族に限っては、103万円※を超えてしまった場合でも新設された「特定親族特別控除」により段階的に控除を受けることができるようになりました。
※令和7年度税制改正により、従来の扶養控除の収入要件が123万円に引き上げられました。
3. 要件は?

生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族等で、合計所得金額が123万円以下である場合は、その居住者の総所得金額から特定親族特別控除額を控除することができます。
「合計所得金額が123万円以下」というのは、給与収入に直すと188万円以下ということになります。
特定扶養親族の給与収入が123万円超188万円以下であれば「特定親族特別控除」により控除が受けられることになります。
4. 控除金額は?

特定親族特別控除の控除額は、給与収入の金額によって段階的に控除額が変わります。
給与収入が123万円超188万円以下の範囲で、控除額は下記の表の通りとなります。
給与収入金額 | 合計所得金額 | 特定親族特別控除額 |
123万円超 150万円以下 | 58万円超 85万円以下 | 63万円 |
150万円超 155万円以下 | 85万円超 90万円以下 | 61万円 |
155万円超 160万円以下 | 90万円超 95万円以下 | 51万円 |
160万円超 165万円以下 | 95万円超 100万円以下 | 41万円 |
165万円超 170万円以下 | 100万円超 105万円以下 | 31万円 |
170万円超 175万円以下 | 105万円超 110万円以下 | 21万円 |
175万円超 180万円以下 | 110万円超 115万円以下 | 11万円 |
180万円超 185万円以下 | 115万円超 120万円以下 | 6万円 |
185万円超 188万円以下 | 120万円超 123万円以下 | 3万円 |
給与収入が150万円までは特定親族特別控除額が63万円になり、既存の特定親族の扶養控除額と同額になる為、実質、特定親族に対する収入要件が150万円まで引き上げられたことになります。
よって、給与収入が150万円以下であれば従来と同じ金額の控除を受けることができるようになります。
また、ギリギリで150万円を超えてしまったとしても、そこから段階的に控除を受けることができる為、急激な税金の増加はなくなります。
無理に働く時間を制限して収入を抑える必要がなくなり、19歳から23歳の労働力の確保に期待が持てるかもしれません。
5. 注意点

上記の特定親族特別控除額は所得税の金額になり、住民税の控除額は異なるのでご注意ください。(要件は同じです。)
給与収入が188万円以下であれば特定親族特別控除の対象となりますが、特定親族本人の所得税・住民税は通常の計算通り発生するので注意しましょう。
本人の所得税が非課税になる給与収入金額は123万円以下(住民税は110万円以下)です。
また、社会保険の扶養については今回の改正には関係なく、従来通り給与収入が106万円(又は130万円)を超えると社会保険の扶養から外れてしまいます。
学生であれば基本的には社会保険の加入義務がないので問題ないですが、学生以外の場合は社会保険が発生する可能性があるので注意しましょう。
6. まとめ
今回の税制改正により、基礎控除や給与所得控除が引き上げられ、それに伴い扶養控除等の各種控除の収入要件の金額も引き上げられる形になりました。
特に大学生年代の親族を持つ家庭への配慮や労働力の確保の為に新たな控除も創設されました。
ただ、社会保険については改正がなく、むしろ社会保険の壁は引き下げられていく一方です...。
結局は社会保険の壁により労働を制限する形になってしまいそうなので、次は社会保険の見直しに期待したいですね。
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※上記記事は令和7年4月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。
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