中小法人を解散・清算する際のみなし配当の税務ポイントを足立区の税理士が解説
- hsatou0
- 4 分前
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「自分が経営していた会社を解散することに決めたけど、税金はどうなるの?」、「株主兼経営者だから、会社を解散後に受け取るお金にはどんな税金がかかるの?」会社を解散・清算する際、株主兼経営者にとって、配当所得の取り扱いが重要です。解散後に受け取る金額がどのように課税されるのかを理解していないと、思わぬ税金負担が発生することがあります。この記事では、中小法人を解散する際の配当所得に焦点を当て、税務上の注意点をわかりやすく解説します。
目次
1. 会社を解散・清算するときに発生する配当所得
2. どうすれば税務リスクを最小限に抑えられるか
3. 「みなし配当」を抑える3つの対策
4. まとめ
1.会社を解散・清算するときに発生する配当所得

会社を解散し、清算を行う場合、株主に分配されるお金(清算金)が配当所得として課税されます。いわゆるみなし配当です。特に、株主と経営者が同一人物である中小法人の場合、税務上、清算金が配当所得として扱われるため、事前に税金面を確認しておくことが重要です。
①清算金は配当所得
会社の解散後に株主に分配されるお金は、「清算金」として扱われます。その清算金のうち、出資額(元本)を超える部分は、税務上、配当所得として課税されます。たとえば、あなたが経営する会社に対して100万円の出資をしていたとしましょう。会社の解散後、株主として受け取る清算金が500万円の場合、そのうち出資額を超える部分である400万円については配当所得として課税されます。
内容 | 金額 |
受け取った清算金 | 500万円 |
出資額(元本) | 100万円 |
配当所得(みなし配当部分) | 400万円 ←ここが課税対象! |
この400万円に対して、配当所得として課税されます。
②配当所得は総合課税
配当所得は、中小企業の場合通常、総合課税として申告する必要があります。これは、他の所得である給与所得や事業所得などと合算され、その総額から各種所得控除を引いた金額に対して累進課税(5%〜45%)が適用されるというものです。特に、受け取る清算金が多額になる場合や他の所得が多額である場合は、税率が高くなり手元に残る金額が少なくなってしまいます。そのため、会社の解散を決めた時点で、清算金の分配額や税額を予測しておくことが重要です。
2.どうすれば税務リスクを最小限に抑えられるか?

中小法人を解散する際の配当所得について、税務リスクを最小限に抑えるためには、事前に以下のポイントを確認しておくことが重要です。
①出資額を正確に把握する
株主としての出資額(元本)を正確に把握し、解散後に受け取る清算金のうち、出資額を超える部分がみなし配当として課税されることを理解しておきましょう。
②受け取る金額に対する税金を計算する
受け取る清算金がどれだけになるか、事前に予想してその税額を計算しておくことで、後から税金で驚くことがありません。
③税理士に相談する
会社の解散手続きや清算金の分配に関しては、税理士に相談することを強くおすすめします。専門家に相談することで、最適な税務処理ができます。
3. 「みなし配当」を抑える3つの対策

剰余金が大きく残っている場合には、最高税率で課税されるケースもあり、納税額が大きく膨らんでしまいます。こうした事態を避けるためには、事前に計画的な対策をとることが重要です。ここでは、精算時の課税を軽減するための基本的な3つの方法をご紹介します。
① 配当をこまめに出しておく
精算時に剰余金が多く残っていると、その分が株主(=オーナー)への「みなし配当」として課税されます。これを避けるために、事前に利益剰余金を定期的に配当しておくことで、みなし配当の課税対象を圧縮できます。ただし、配当は法人の経費にはならないため、法人税の軽減にはつながりません。また、個人側でも配当した年は配当所得として課税される点には注意が必要です。
そして、この方法を実施する際には、法人の財務状況や法的手続き、税務面での調整が必要であることを忘れないでください。
こまめに配当を出す方法の注意点:
法人の利益がない場合は、配当を出せないことがあります。
配当金の支払い手続きが必要であり、株主総会などの手続きを経る必要があります。
法人の運営資金が減少し、会社活動に影響を与える可能性があるため、そのバランスを取ることが重要です。
② 役員報酬を高めに設定する
役員報酬は法人の損金(経費)として認められるため、剰余金の蓄積を抑える上で非常に有効です。法人の利益が出た場合、その分を報酬として計上することで、将来的なみなし配当を抑えることができます。もちろん、過大な役員報酬は税務上否認されるリスクもあるため、業績や業種に見合った妥当な金額の設定が必要です。
③ 退職金を支給する
法人の精算にあたって最も有効な手段の一つが、「役員退職金の支給」です。退職金は法人側では損金となり、個人側では退職所得扱い(1/2課税)+退職所得控除が適用されるため、非常に税負担が軽くなります。長年経営に携わったオーナーに対しては、功績倍率等に基づいて相応の金額を退職金として支給することが可能です。精算直前にまとめて支給することもできるため、みなし配当の金額を一気に圧縮できる効果的な手段です。
4.まとめ:会社解散後の税務処理は慎重に!

中小法人を解散・清算する際、清算金のうち出資額を超える部分は配当所得として課税されることをしっかり理解しておきましょう。その配当所得は、総合課税として申告し、他の所得と合算して税金が計算されます。解散前にしっかりと税金の計算を行い、税理士と相談しながら進めることが最も重要です。そして、「配当をこまめに出す」、「役員報酬を高めに設定する」、「役員退職金を支給する」ことも税率を下げる一つの方法として有効です。「会社をたたむ=税金がかかる」というのは当然のことですが、配当所得がどのように課税されるのかについて事前に知っておくことで、後から慌てずに済みます。
また、相続税の特例を適用可能な場合は、分離課税(税率固定、約20%)を選択することも可能になります(特例の為、条件に沿った株式や資金移動が必要です)。税理士に相談して、最も有利な税務処理を進めましょう!
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※上記記事は令和7年4月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。