社員旅行や研修旅行は、従業員の福利厚生の一環として、従業員のモチベーションの向上やチームビルディングのために有効的ですが、その旅行費用の税務上の取り扱いについては注意が必要です。
特に不参加者が多い場合などは注意が必要で、場合によってはその費用が従業員に給与として課税されてしまう可能性を秘めています。
社員旅行や研修旅行の税務上の取り扱いについて、また、家族も旅行に参加する場合なども含めてポイントを解説していきます!
1.社員旅行や研修旅行は経費にできるのか?
社員旅行や研修旅行の費用は、会社の経費として計上することが可能です。
ただ、会社の経費であったとしても、場合によってはそれが「給与」として従業員などに課税されてしまう可能性があります。
では、「給与」ではなく「福利厚生費」として経費計上が認められるのはどのような場合でしょうか?
2.そもそもなぜ給与扱いされるのか?
社員旅行の費用は、原則は現物給与に該当します。
詳細はこちらの記事でも解説をしています↓
給与は通常は金銭で支給されますが、「現物給与」とは従業員に金銭ではなく、物品やサービスなど金銭以外の形で支払われる給与のことを指します。
従業員は、社員旅行の費用を会社が負担してくれたことにより経済的な利益を受けるので、原則として、その利益を受けたとされる金額が給与収入として扱われます。
ただし、一定の要件を満たしていれば給与扱いはされないことになっています。
3.社員旅行の費用が給与課税されないための要件
社員旅行の費用が以下の要件を満たしていれば、給与ではなく福利厚生費として経費にすることが可能です。
①社員旅行の期間が4泊5日以内であること
4泊5日以内であることが必要です。海外旅行の場合は、海外での滞在日数が4泊5日以内であることが必要です。
②社員旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること
社員全体の50%以上が社員旅行に参加している必要があります。
ただし、支店ごとに社員旅行を行う場合などは、その職場ごとに判定することが可能です。
③以下のような旅行でないこと
・役員のみの旅行
・実質的な私的旅行
・不参加者に代わりに金銭を支給する旅行
これらに該当する場合は給与扱いとされてしまいます。
4.研修旅行の費用が給与課税されないための要件
研修旅行や研修合宿の費用の場合は、以下の要件を満たしていれば給与ではなく福利厚生費として経費にすることが可能です。
①会社の業務を行うために直接必要な旅行であること
会社の業務に直接必要のない旅行の場合には給与課税されてしまいます。
なお、その旅行が業務に直接必要な部分と必要ない部分がある場合には、直接必要でない部分の費用は給与課税されることになります。
②以下のような団体旅行でないこと
・主に観光旅行を目的として団体旅行
・旅行のあっせん業者が主催する団体旅行
・観光渡航の許可で行く海外の研修旅行
これらに該当する場合は給与扱いとされてしまいます。
5.旅行に参加しない代わりに金銭を支給したら?
不参加者に金銭を支給した場合、もちろんそれは給与課税の対象となります。
ただし、その参加しない理由により他の参加者の取り扱いも変わってきます。
①自己都合で参加しなかった場合
自己都合で参加しなかった従業員に金銭を支給した場合は、その従業員に対して給与課税されるのはもちろん、他の参加者に対しても給与課税がされてしまいます。
自己都合の不参加者に金銭を支給するということは、旅行の参加と金銭の支給を選択できるという状況であり、その場合は参加者も含めて給与課税の対象となります。
②業務の都合で参加しなかった場合
会社の業務の都合等でどうしても参加できなかった従業員に金銭を支給した場合は、その従業員に対して給与課税がされます。この場合は他の参加者が給与課税されることはありません。
6.絶対に参加者が50%以上でないとダメなのか?
結論、50%未満でも福利厚生費として認められる可能性はあると国税庁が回答しています。
例えば、
社会通念上一般に行われている社員旅行で、
全従業員を対象に参加者を募集し、
年間行事の一環として会社主催で行われ、
期間が4泊5日以内であり、
高額な旅行費用でないなど、
総合的に勘案して従業員が受ける経済的利益が少額と認められれば、参加者が全体の50%未満でも給与課税しなくて良いとされています。
これは、従業員が受ける経済的利益も少額と認められるということなので、高額な社員旅行や海外の社員旅行では認められない可能性があるので注意しましょう。
7.家族が参加する場合は?
結論、原則は家族分の旅行費用は福利厚生費として認められませんが、状況によっては認められることもあります。
従業員の家族も社員旅行に参加する場合、その家族分の費用は福利厚生費として計上することはできません。家族分の費用も会社が負担する場合は、原則としてその従業員の給与とする必要があるでしょう。
しかし、家庭の事情や家族構成などにより、家族が同伴せざるを得ない事情もあると思います。その場合は必ずしもダメということではなく、上記6.と同様に総合的に勘案して、福利厚生費として認められるかを判断する必要があります。
8.まとめ
社員旅行を行うからには、従業員に給与として課税させたくないですよね。特に、税務調査で後から給与課税として認定されてしまうと、従業員からの心象もあまりよくありません。そうならないためにも、事前にその旅行費用の取り扱いを理解しておくことが大切です。
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※上記記事は令和6年7月時点の情報に基づいて記載しております。
※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。
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