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短期前払費用の特例を活用しよう!節税もできるかも?前払金との違いについても足立区の税理士が解説!

前払費用は、通常、実際にサービス等が提供された時に損金に計上されますが、短期前払費用の特例を適用することによって、支払い時の損金に計上できる可能性があります。

本来であれば損金に計上できない費用であっても損金に計上が認められるため、節税にも繋がるかもしれません。


1. そもそも前払費用とは?

前払費用とは?

前払費用とは、費用を前払いしていれば全てが当てはまる訳ではありません。

前払費用の会計上の意味とその具体例を解説します。


①概要

前払費用とは、将来のサービス(役務提供)の費用を事前に支払った場合など、支払いは済んでいるがまだサービスの提供を受けていない状態のことを指します。通常、前払費用は、支払った時点ではまだサービスの提供を受けていないため、損金には計上できず、資産として計上することになります。その後、実際にサービスの提供を受けた時点でこの資産を経費に計上するということになります。

そしてこの前払費用は、契約による継続的なサービスに対しての費用で時間の経過とともに費用となるものが前提となります。言い換えると、契約に基づいた継続的な同一内容のサービスと言えます。

なので、「前払金」とは意味合いが少し違うため注意が必要です。


②具体例

前払費用に該当するものとして、以下のような取引が挙げられます。

・家賃

・リース料

・保険

・サーバー利用料

・ソフト利用料など

いずれも、契約に基づいた継続的な同一内容のサービスであることが分かります。


2. 「前払金」との違い

前払金との違い

似たような勘定科目で、「前払(渡)金」というものがあります。

前払金とは、商品やサービス代金の一部を"内金"といった形で支払ったり、商品の受領前に先に支払いだけを済ますといったケースが当てはまります。

前払費用と大きく違うのは、契約による継続的なサービスではなく、物品の購入や単発的な支払いが該当するという点です。単に支払いだけが先に済んでいるという状態です。

前払費用と前払金では、代金を先に支払うという点では共通ですが、継続的な同一のサービスに対しての支払いと、一時的な物品購入やサービスに対しての支払いという点で違いがあります。


3. 短期前払費用の特例とは?

短期前払費用の特例とは?

上記を踏まえたうえで、税務上の短期の前払費用の取り扱いについて解説します。


①前払費用の原則

前払費用は、原則として、支払った時点では資産として計上しなければなりません。

その後サービスの提供を受けた時点で、損金に計上することになります。

例:2025年1月分の家賃を2024年12月末に支払った

2024年12月  前払費用 ○○円 / 現預金 ○○円

2025年 1月  地代家賃 ○○円 / 前払費用 ○○円


②短期前払費用の特例

前払費用の原則に対し短期前払費用の特例とは、前払費用のうち、支払った日から1年以内にサービスの提供を受けるものについては、一定の要件のもとに、支払った時点で損金に計上できることが認められる特例になります。

この特例により、原則は資産計上しなければならない費用を、全て損金に計上することができるため、経理事務の削減や節税に繋がる可能性があります。

例:2025年1~12月分(1年分)の家賃を2024年12月末に支払った

2024年12月  地代家賃 ○○円 / 現預金 ○○円


4. 短期前払費用の特例の適用の要件

短期前払費用の特例の適用の要件

短期前払費用の特例を適用するためには、前提として以下の要件に該当している必要があります。


①1年以内にサービスの提供を受けること

支払った日から1年以内にサービスの提供を受ける必要があります。

支払日から1年を超えるサービスの提供については短期前払費用に該当しません。


②契約に基づいていること

その短期前払費用が契約に基づいている必要があります。

契約書等で支払いの時期や期間が記されていて、その支払いが契約に基づいていることが前提となります。

契約によらないで勝手に1年分を前払いしたとしても認められません。


③サービス内容が一定であること(等質等量)

一定の契約に従って継続的にサービスの提供を受けることが必要で、かつ、時間の経過とともに費用となるものでなければなりません。

つまり、サービスの質や量が変動しない、継続的な同一内容(等質等量)のサービスの提供である必要があります。


④重要性の原則の範囲内であること

企業会計上の重要性の原則の観点から、その取引の内容や金額からみて、重要性の原則の範囲内であることも必要です。

その取引内容や金額の重要性が非常に高く、厳密な処理が必要となれば、特例は認められない可能性があります。


5. 実務上の注意点

短期前払費用の実務上の注意点

短期前払費用の特例を適用するにあたって、実務上は以下の点に注意する必要があります。


①収益と対応させる必要がある費用はNG

収入との直接的な関係にある費用は短期前払費用の対象外となります。

例えば、売上原価を構成する費用や、社員から一部を徴収する必要がある社宅家賃などが該当します。


②雑誌等の年間購読料はNG

契約に基づく継続的なサービスだとしても、雑誌等の購読料は物品の購入にあたるため、前払費用にはなりません。ただし、電子書籍等の購読料については物品の購入にあたらないため、短期前払費用の対象となります。


③特定のサービスの費用はNG

一定の時期だけに特定のサービスを受けるための費用は短期前払費用の対象外となります。

例えば、テレビCMや芸能活動の契約料などは、継続的なサービスだとしても前払費用にならず「前払金」として扱われます。


④支払い日から1年を超えるとNG

サービス提供の対象期間が支払い日から1年を超えてしまうと短期前払費用の対象外となります。

例えば、2024年11月に2025年1~12月分の家賃を前払いしたとしても、対象期間が支払い日の11月から1年を超えてしまっているため、短期前払費用とはなりません。


⑤等質等量のサービスでないとNG

サービスの質や量が変動しない、継続的な等質等量のサービスの提供でないと、短期前払費用の対象外となります。

例えば、前払いした税理士の顧問料や業務委託報酬などは、等質等量とは言えないため、短期前払費用とはなりません。


6. まとめ

前払費用の原則的な取り扱いや短期前払費用の特例を理解することで、節税にも繋がるほか、税務調査で否認されるリスクも減ります。

その支払いが短期前払費用の特例に当てはまるかどうか、決算が近い場合は、まずは税理士にご相談ください!



ご相談の方は以下よりお問い合わせください。

初回は相談無料となります。


※上記記事は令和6年7月時点の情報に基づいて記載しております。

※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。





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