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会社のお金や資産が盗難にあったらどう処理する!?やるべきことを足立区の税理士が解説!

更新日:6月18日

空き巣に入られて店舗やオフィスの現金が盗まれてしまった...会社の車を盗まれてしまった...など、会社の資産が盗難に遭った場合、会計上や税務上はどのようにすべきか、悩むポイントだと思います。具体的には、損失として税務処理が必要になりますが、損失とするにはいくつかポイントがあり、要点をおさえておくことが必要です。盗難による損失の税務上の取り扱いについて詳しく解説します!


1. 盗難による損失は経費になるのか?

盗難による損失は経費になるのか?

まず、会社の資産が盗難に遭った場合、その損失は経費として計上することが可能です。経費として認められる金額は、盗難に遭った損失額そのものです。ただし、経費とするためにはいくつかのポイントがあります。また、その損害により保険金の受け取りがあった場合には、その保険金は収益として計上する必要があります。


2. 経費として計上するためのポイント

盗難による損失の実務上のポイント

盗難によって損害のあった金額は、通常は「損失」として計上され、この損失は法人税の計算上、経費(損金)として認められます。ただし、損失の計上にあたっては以下のポイントを押さえておくことで調査時の否認リスクを抑えられます!


①実際に盗難が発生したことを証明できること

盗難により、会社が実質的に損失を被ったことが明確である必要があります。具体的には、警察への届出や被害届の受理証明書、保険会社への申請など、盗難の事実を証明する書類が必要です。

②損失の金額が明確であること

盗難に遭った金額が具体的に把握できる必要があります。盗難に遭った金額の詳細な記録(現金出納帳など)を保持しておくことが重要です。

③業務上必要な資産であること

大前提として、業務に関連する現金や資産であることが条件です。


3. 税務上の取り扱い

盗難による損失の税務上の取り扱い

盗難による損失は、「特別損失」として損金として計上することができます。特別損失として認められるためには、上記のポイントを満たし、証拠を税務署に提出できる状態にしておく必要があります。


①特別損失の計上方法

盗難による損失は、発生した事業年度に特別損失として計上します。被害額が確定した後、その全額を特別損失として損益計算書に計上します。

(例:現金100万円が盗難にあった)

 特別損失 100万円 / 現金 100万円 

(例:社用車(簿価300万)が盗難にあった)

 特別損失 300万円 / 車両運搬具 300万円 


②税務申告

特別損失として計上した損失額は、確定申告書にも適切に反映させる必要があります。


3. 保険金の受取りがある場合

盗難による損失の保険金の受取りがある場合

盗難に対する保険に加入している場合、保険金が支払われることがあります。この場合、保険金の受取りに伴う税務上の取り扱いも非常に重要です。


①保険金の受領は収入に

保険金が支払われた場合、その金額は「雑収入」として収益に計上します。これにより、実質的には盗難による損失額と相殺する形となります。

(例:保険金100万円が普通預金に入金された)

 普通預金 100万円 / 雑収入 100万円 


②保険金受領が事業年度を跨ぐ場合は注意が必要!!

盗難による損失が発生し、その翌事業年度に保険金の受取りがある場合など、事業年度を跨ぐ場合には税務上の処理に注意を払わなくてはなりません。損失の全部又は一部が保険金によって補填されることが明らかな場合は、実際の保険金入金がまだでも決算時に収益として計上しなければならない可能性があります。

(例:令和6年12月に盗難による損失100万円が確定し、翌事業年度の令和7年2月に保険金100万円が入金された)

・令和6年12月  特別損失 100万円 / 資産 100万円 

・決算  未収入金 100万円 / 雑収入 100万円 

・令和7年2月  普通預金 100万円 / 未収入金 100万円 


4. 実務上の注意点

盗難による損失の実務上の注意点

盗難による損失の税務処理を適切に行うためには、実務上は以下の点に注意する必要があります。

①証拠書類の整備

盗難の事実を証明するための証拠書類(被害届、警察の調書、保険会社の書類など)を整備し、保管しておく必要があります。税務調査のときにこれらを提示できないと、損失として認められない可能性があります。

②損失金額の明確化

税務上の処理のためにも必要ですが、保険会社へ申請するためにも、損失の金額を客観的かつ合理的に明確にする必要があります。日々の現金出納帳や口座への入金履歴等でお金の動きを追えるようしておくことが大切です。

③保険金の取り扱い

過去の判例として、盗難による損失を発生した事業年度に経費計上し、保険金収入は入金された翌事業年度に計上した法人に対し、保険金収入も損失の発生と対応させる必要があるとして、損失の発生した事業年度に予定されている保険金収入も計上すべきという判例があります。

保険を掛ける目的は、将来の偶発的な損失の補填であり、保険金は契約に基づいて支払われるものであることから、損失が保険金収入によって補填されることが明らかなときには、費用収益対応の原則に従い、同一事業年度において対応させる必要があるという考え方です。そのため、保険金収入の計上がない時点においては、損失だけを先行して損金の額に算入することはできないということです。

この根拠として、法人税基本通達2-1-43の注書において、損害賠償金の請求の基因となった損害に係る損失の額は、保険金により補てんされる部分の金額を除き、その損害の発生した日の属する事業年度の損金の額に算入することができると定めています。


5. まとめ

会社の資産が盗難に遭った場合、証拠書類等を整備した上で、その損失を適切に認定し、特別損失として計上することが重要です。保険金が支払われた場合も、その受取りに伴う税務処理も適切に行いましょう。



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※上記記事は令和6年6月時点の情報に基づいて記載しております。

※上記記事は一般的な内容を記載しているため判断の際は専門家へのご相談をお願い致します。






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